Fashion, Collection, Tokyo 2017 s/s

ユキヒーロープロレス 2017 s/s collection

ファ、ファッションショー!?

10月21日、渋谷のclub camelotにて「ユキヒーロープロレス(YUKIHERO PRO-WRESTLING)」が2017年春夏コレクションを発表。

ユキヒーロープロレスといえば、前回のコレクションでモデルをプロレスラーが肩に担いで登場したり、展示会ではデザイナーの手嶋氏自身が「ラーメンいかがですか!」とオリジナルのラーメンを販売したりと、とにかく奇想天外なブランド。今回のショーは、「ヒールを履いた猫」という新月から上弦までの8日間人間になれるという演目のミュージカル形式で行われた。出演にアイドルグループの夢みるアドレセンスや女優の秋野暢子と豪華メンバー。USJの総合演出なども手掛けたことがある菅野こうめいが演出を手掛けた奇跡のミュージカル×ライブ×ファッションショーの誕生となった。


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架空の下北沢の空き地を舞台に「夢みるアドレセンス」の志田友美ちゃんはマイペースで気分屋だがどこか憎めない三毛猫のミケ、荻野可鈴ちゃんは明るいリーダーでアメリカンショートヘアーのメイ、京佳ちゃんは食いしん坊で誰からも愛されるみんなの妹のような存在のラグドールのラグ、山田朱莉ちゃんは男勝りでアクティブだが本当は涙もろいアビニシアンのアビー役を熱演した。
ミュージカル中にはライブも行い、「Love for you」、「舞ジェネ!」、「おしえてシュレディンガー」を披露した。なんたって、超可愛い。可愛すぎて仕事どころでないと客席・カメラ席は全員は思っていただろう。絶対にだ。少なくとも、家に帰った時にYouTubeを開いて「夢見るアドレセンス」と調べたはずだ。そして、普段の大人っぽい雰囲気と代わって、ユキヒーローのポップな衣装を身に纏いまた違ったギャップもいい。彼女たちの愛くるしくもエネルギッシュなパフォーマンスは、見ているこちら側も活力がみなぎっていくようであった。「これって、ファッションショーなのか?」という新しい感覚、そして、めちゃくちゃ可愛いという感覚でかき乱される…。なんで、こんなかわいいのか教えてシュレディンガーだ。


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つい、取り乱したが本題に入る。パフォーマンスばかりに目が行きがちになるが、彼の作る服も必見である。ショーは中盤に入るとモデルがランウェイへと登場。ガーリーな雰囲気のワンピースにマリリンモンローを回想させるヘアメイク等、まるでローマの休日など60年代のアメリカ映画を見ているようなワクワクするルックであった。60年代のアメリカといった背景的に明るすぎず暗すぎずというチョイスが、クラシックな雰囲気とユキヒーローらしいポップさを醸し出していて渋い。また、ショーの中で秋野暢子が着用していたポーチにもプロレスラーのロゴがキルティングに刺繍されていたりと、細かい場所までユキヒーローらしいユニークさが詰まっていた。最早、笑いを取りにいっているんじゃないか。夢みるアドレセンスのメンバーの衣装には、猫の毛皮を連想させるデザインと原宿の若い女の子を想わせるカラフルな色使いが施されていた。そして何より、頭の猫耳が犯罪的に可愛い。


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ショーが終わった後のインタビューで「服というのは人に力を与えてくれるもの。もっと服を通してファッションを通して元気を届け続けていきたい。」と、デザイナーの寺嶋氏は語ってくれた。夢みるアドレセンスの起用は、寺嶋氏が今年の6月に衣装協力で知り合った際に「彼女たちの元気さを以って、もっと他の何かも一緒にやりたい。」と、彼女たちのパフォーマンスを見て感動したという経緯からだそうだ。コレクションと言えば、クリエーションに対してとことんストイックで世界観がコアなブランドのショーが主流であるイメージ。しかし、彼のパフォーマンスや振る舞い方から、「もっと自由で何でもありという、何にも縛られ無いのがファッションでは無いのか?」という思いが詰まってるようであった。ファッションの良さや楽しさをもっと知ってもらいたいという想いが伝わってくる。その結果、ミュージカル×ライブ×ファッションショー×アイドルという未知のエンターテイメントが誕生した。それは、寺嶋氏自身が一番に楽しんでいる印象からも垣間見えた。「ファッションだって、エンターテイメントである。」と考えるユキヒーロープロレスは次の東コレでどんなパフォーマンスを披露するのだろうか。彼の斬新さに釘付けになってしまう。そして、夢みるアドレセンス、ありがとう。

Text/江崎優
Photo/鈴木優斗



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デザイナー 手嶋幸弘
『誰かのヒーローになれる服』をコンセプトとし、2012年にスタイリストとして独立したと同時に幼少のころより憧れた“ヒーロー”と“プロレス”をモチーフとしたブランド『ユキヒーロープロレス』をスタート。映画や舞台、アイドル、プロレスラーの衣装、CDジャケットデザインを手掛けるほか、円谷プロダクション、タワーレコードとの企業コラボレーションも行う。2012年と2015年にはTOKYO新人デザイナーファッション大賞プロ部門に選出される。2015年度より国内外での取り扱いもスタート。
日本の伝統職人による技を継承し、それを今の服に取り入れており、ジル・サンダー氏やジャン・ポール・ゴルチエ氏からも賞賛されている。今季コレクションアイテムはパリを始めとした世界各国のセレクトショップで取り扱いが決定。





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