「永遠」とは未来の話ばかりではない!?
2016年10月21日、渋谷ヒカリエホールAにて、ZIN KATO(ジンカトー)2017年春夏コレクションが発表された。黒で統一された会場内に唯一、白でシンプルに映し出されたZIN KATOの文字。また、長く伸びているランウェイから今季はどのような作品を目にできるのだろうか?と観客は期待に胸を膨らませた。
最初に現れたのは、シックであるにもかかわらず、まるで青色のアゲハ蝶を連想させるような裾広がりのボリューミーなエレガントスタイル。ファーストルックから豪華で観客は身を乗り出して眺めていた。
そんな今季のテーマは「Eternal Return(永劫回帰)」
Eternal(エターナル)、つまり「永遠に」には、時間は永遠に戻ってくるという思いが込められている。
彼は今年でファッション業界にはいって50年を迎えた。
そこを一つの節目だと考え、自分の50年を振り返りながら創り上げたのが今季のコレクションだと彼は言う。彼にとってファッションとは、同じようなサイクルで巡り巡ってくるもの。だが全く同じというわけではなく、何らかの変化を加えながら現在に存在していくものだそうだ。
ショーの後半は、50年を振り返っていく中で彼に大きな影響を与えた1920~30年代スタイル。
この時代の代表作ともいわれる「グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)」の世界観に引き込まれるような煌びやかでゴージャスなスタイルに目を奪われた。ラストにジャズミュージックを取り入れることで時代背景を大きく表現したそうだ。ファーストからラストまでヒラヒラとなびく要素を多く取り入れることで時代の流れを表現するとともに、名残惜しさをも感じさせるような余韻を残したかったと彼は語った。
彼のコレクションから、時代は帰りゆくものであるが決してそのままではない。必ず新たなる時代に向けて進化を遂げていっているということが強く伝わってきた。また、新しさだけがすべてではない。過去の良き要素を生かしていくこともまたファッションには欠かせないということを実感。最近のファッションは代り映えがなく何かが欠けているとの声をよく聞くが、新しいものばかりを追求し、古きを捨て去るよりも、古きを新しきものにある意味リサイクルしていく。それもまた新しい時代を、ファッションをつくり上げていく中で大事なことではないのだろうかと思う。
Text/檜田 美佳
Photo/秋山 萌々子