Melancholic Garden
ここには1人の主人公がいる。
少し憂鬱で気だるくて血の気のないような少女。色を知らない少女はぼんやり暗闇の中を自分自身を探して彷徨う。光を見つけ、色を覚えた少女が行き着いた先は気だるさと穏やかさの共存する庭だった。ただかわいいだけじゃなくて、少しトゲを残した姿はどこか違和感があり、それが彼女らしさなのだと気づく。
この物語の中で、彼女はなぜ色を知り、どこで光を見つけたのだろう。
色めくという言葉があるが、色づいて華やかになる/そわそわするといった様々な意味がある。
彼女は恋をしたのではないだろうか。
恋をするとそわそわする。
かわいいと思ってもらいたくて、どんな服を着ようかどんな髪型をしようかと悩んで決めて意気揚々家を出て、出てからやっぱりこれじゃなかったと後悔して落ち込んで。
混沌とした色の組み合わせはこう言った胸の内をあらわしているのではないだろうか。
試行錯誤しながらも色を知り、色で遊ぶことを覚えた彼女はとても楽しかったのではないだろうか。花柄の刺繍や、レースで一生懸命おしゃれして一見ちぐはぐに見える彼女の姿は、自分らしくおしゃれを追求する楽しさを提案しているように思えた。
Text/村野陽菜
Photo/田近咲菜