Bennu 2016 A/W COLLECTION ”FOXY LADY”
重々しい音楽の中でカーテンが開き、現れたのはヴァイオリンを演奏する一人の男性。そんな彼の音楽と共に、Bennu(ヴェンヌ)の秋冬コレクションがスタートした。2015年に発起したばかりのこのブランドにとっては、今回が初のコレクションであった。
今回のテーマは“FOXY LADY”。アメリカのミュージシャン、ジミ・ヘンドリックスの歌詞から影響をうけてこのテーマを設けた。60年代、70年代のロックを聴いて育った大人たちに向けて、懐かしさと新しさの両面が感じられるロックスタイルを提案したのだという。
デザイナー菅野裕二にとっての“FOXY LADY”とは「ずるい女」。男性が女性を追いかける、そんな姿をコレクションで表現した。
シルエットや素材にこだわることで、ベーシックなアイテムにラグジュアリー感やエレガンスさを出す。これが長年軸となっている菅野氏のスタイル。ファーストコレクションであるので、まずは自分のスタイルを正面からぶつけて、今後これを元にコレクションを進化させていきたいのだという。
彼自身はデザイナー職を19年ほど経験してきた。近年企業は売れるもの、消費者に合わせたものを作る傾向にあり、デザイナーとして活動していく中で、「洋服=モノ」という感覚に彼も一度陥る。もっと攻めたい、ファッションというものを表現したいと再び思えたことでヴェンヌは生まれた。また、ブランド立ち上げを機にもう一度コレクションとして表現したいと思ったのが、今回の東京コレクション参加の理由だ。これからもショーという形式で、コレクションを展開していく予定らしい。
今回ステージの上でヴァイオリンを演奏し続けていたのはSUGIZO。LUNA SEAやX JAPANでギター、ヴァイオリンを演奏するミュージシャンである。今までアーティストや映画に衣装協力を多くしてきたため、ミュージシャンをはじめとする様々な人たちと関わりが深いのだという。Bennuは始まったばかりである。もしかしたら今後、他のアーティストとのコラボレーションも見られるかもしれない。
text/Akane Sato
photo/Hiroshi Nagayama