今回のテーマは『GO BEYOND』
向こうへ。
全てのモノ、コトが新たに更新されていきます。
変化は必然。その向こうへ。
ランウェイの中心に敷かれたカーペットには銀糸で矢印などが描かれ、今回のテーマの『GO BEYOND』を意識させる。
汽笛の音が鳴り響き、スモークが漂う会場で今回のコレクションは始められた。
古典的な文化を残しつつ、アルパカ起毛のロングコートやメタリック生地、デニムやジャージの素材を使用した着物にスーツケースを持っているなど、新しい価値観の美意識として次々と登場する麗らかなモデル達に観客は魅了された。
そして今回のコレクションに主に使用されたのはストーンカラー。
シックでありながら華やかで、同じ色でも石のような深みのある色で大人の衣装である着物を作り出すことにデザイナー斉藤氏は意味を感じたという。
エンターテイメント性の高い今回のショーでは音楽にも強いこだわりを抱いており、ギターのサウンドが響くロックでアップテンポな曲はショーをさらに盛り上げた。斉藤氏曰く、現代の日本には世界の最新の音楽が集まりつつありその中で着物がどう映るのか素直に表現してみたかったという。
汽笛の音で誘われた今回のショーは『ジャーニー(旅)』や『次の世界へ』をイメージしており、大盛況のうちに幕を閉じた。
海外進出に興味がないわけではないが、洋服の本場はパリでも着物の本場は日本であるため今後も日本での活動を続けていくというJOTARO SAITOが、これから日本の誇るべき文化である‘着物’という世界に新しい風を吹かせてくれるかもしれない。
text/Fumi Suwa
photo/Chihino Okada