Fashion, Collection, Tokyo 2019 S/S

AOI WANAKA 19 S/S Collection


羽ばたくまでの輝き

Amazon Fashion Weekで最初のショーを担ったAOI WANAKA。今年デビューしたばかりのウィメンズブランドだ。


日本語の美しさを伝えられたらと言うデザイナーの和中碧氏。今回の2019 S/Sコレクションでは、「菜虫、蝶となる」という言葉をテーマに選び、幼虫が蝶になる過程を見せた。すべてのルックが蝶になる前の幼虫や蛹を見立ててある。幼虫を思わせるフリルやパターン、あえて短めに胸の前まで終わっているニットなど、まだ蝶の完全体には至っていない姿が真っ白なランウェイの上で披露された。

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絞り、ニット、総刺繍など繊細な技術が要されるデザインが多く見られた今回のコレクションでは、より鮮明にその動きを表現するために、デザインの決定や、生地の選定の過程でたくさんの人が関わってくれたそうだ。ショーの直後に行われたインタビューの際も、後日行われた展示会で個人的にお話を伺った際にも、「多くの人の助けがあって、完成することができたショー。これからも協力してくれる方々と共に創り上げていきたい。それが今の自分が助けてくださる方々に返せること。」と、協力してくれた人々に対する感謝の意を語っていた。いつか蝶として羽ばたくために、今地を這っている様子は、動き出したばかりのAOI WANAKAを表しているとデザイナー自ら語る。

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成虫である蝶の姿を重視するのではなく、その過程にスポットライトを当てる彼女の姿勢に、ショーの成功だけではなく、それまでの準備の段階で協力してくれる人たちを大切にするデザイナーの強い想いが受けとれた。

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デザイナーのファッションに対して抱く世界観だけでなく、彼女を囲む人たちへの想いや感情も織り込まれて完成させられているAOI WANAKA。これからも、私たちが普段目を向けないものに、若いブランドだからこそ得られる感受性で、丁寧に向き合い発信し続けてくれるだろう。羽ばたくまでの過程でどのような変身を見せてくれるのか待ちきれない。

Text / 荘あかり
Photo / 中村宜嗣



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