Fashion, Collection, Tokyo 2019 S/S

Lautashi 2019S/S Collection

 

日常の中の煌めき

 

モデル・鈴木えみがデザイナーを務めるブランド「ラウタシー(Lautashi)」が発表した2019年春夏コレクション。

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今回、初参加で挑んだ東京コレクション。普通のファッションショーではなく、インスタレーション形式を選んだ。演出には、国内外で活躍するメディアアーティストの落合陽一氏。また、音楽を担当したのは、認知科学をベースに映画音楽やCM楽曲などサウンドデザインを行う、KAITO SAKUMA a.k.a BASIC氏。二人のアーティストによる演出によってブランドのコンセプトである「日常着としてのファッション」が上手く表現されていた。

 

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テーマは「光のタイムマシン」

 

会場内は、まさに異質な雰囲気を漂わせていた。波の音や飛行機のエンジン音、汽車の汽笛の音、身体に響く重低音が響き渡った。また今回一切CGを使わない演出を行っていたという落合氏。真っ暗闇の中、照明が一筋の光のように光り、次々と様々な光が私たちの目の前に現れた。それは温かな光であったり、ネオンの光であったり、優しく光る夜の光であったり、私たちの日常に取り巻く普段見落としてしまうようなたくさんの光たちが時間とともに変わりゆく様子や、その様々な光によって姿を変える洋服が、光と影、音のインスタレーションで、街角に佇む一日の風景を再現していた。

 

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13歳の頃からモデル活動を始めた鈴木氏。自身の経験から〝洋服を着替えた時に少し変化する気持ちや心構えを、毎日の着る洋服に、自分の能力や気持ちを最大限に引き出して、背中を押してくれる実用品のようなものにラウタシー(lautashi)にはなって欲しい″と語った。どことなく素朴らしさを表現しつつ、女性の身体のラインに合わせた生地のデザイン。風に靡くたびに揺れるマーメイドスカートや海の生物たちが描かれたワンピース。インスタレーション形式のファッションショーは、不思議で目新しさがあったが、洋服のディテールや生地の質感がよくわかり、見る場所によって印象が変わる洋服を、何気ない日常の光に織り交ぜ表現したショーは、大変興味深く、今後どのように変化していくのか気になるところだ。そして複数の光の中で微動だにしないモデル達は、凛とした表情でどこかを見つめていた。まるでラウタシー(lautashi)の未来の行く末を見据えるかのように。

 

 

text/ 小松未奈
photo/ 櫻田美羽