Fashion, Collection, Tokyo 2019 S/S

DRESSEDUNDRESSED 2019S/S COLLECTION

DRESSEDUNDRESSED 2019SSのコレクションが渋谷ヒカリエにて発表された。2019年にブランドを立ち上げてから10周年という節目を迎えるDRESSEDUNDRESSEDだが、開場し案内された席に着く前に私は今回のショー会場がこれまでと違い何か異様な雰囲気だという事に気付く。ランウェイの歩く道のりが通常より半分ほどに短くなり、カメラマンエリアがいつもよりずっと手前に位置していたのだ。異なる点は他にもランウェイ中央に長テーブルと複数のイスが置かれていた点である。会場入りした人達は一度その異様さに動揺しながらも開演を楽しみに待っている様子であった。

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今回のテーマは「レストラン」。恋は食事に似ているという言葉から着想を得て作られた。ショーが始まり鐘と笛、オルガンなどが音を奏でる。どれも一律な音でリズムをきざみDRESSEDUNDRESSEDの不思議な世界に吸い込まれていく。
ランウェイの短い道のりをゆっくりとテーブルを避けるようにして歩くモデル。彼らにはレストランに招かれた客や、料理を運ぶウェイターなどの役割が決められていて、カメラの前をターンするとゆっくりとそれぞれの位置についた。

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12人の役者が揃うと彼らは少しずつ変化を見せ始める。布や手、皿でパートナーの目を塞ぐ者、自らの目を塞ぎ食事をする者、1人でワインを飲む者…。

店員であるウェイトレスが女性客に自ら目隠しをさせ、見下ろしている主従の逆転。皿で顔を隠された男性はその向こうで本当に喜んでいるのだろうか。
それはレストランという公の場で、表には見せることのできないそれぞれの恋の形の可視化している様に思えた。

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ゆっくりと進む時間。
背中が大胆にくり抜かれたジャケットや食事をする人物達の関係。前回に引き続き「見せる」「隠す」を用い、フェティシズムを多分に含んでいた。今回のショーはキャラクター性、ストーリー性にも富んでいて、まるでショートムービーを見ている様だった。

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text / 中村 宜嗣

photo / 佐藤 楓