Fashion, Collection, Tokyo 2019 S/S

Asian Fashion Meets TOKYO (Philippines) 18 S/S collection

東京を魅了した時代に縛られないフィリピン


Asian Fashion Meets TOKYOは、東南アジアのブランドがAmazon Fashion Week TOKYOでコレクションを発表する。過去には、フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナムが出場した。今回はフィリピンを代表して4つのブランドが参加。まだ発掘されていない現地の才能豊かなデザイナーに光を当てる「BENCH Design Award」の受賞者10人の中からOTTOMONDI CHEDSTUDIO、Renz Reyesの3ブランドと、グローバルに活躍するフィリピン生まれのカジュアルブランドBENCH/が代表して、東京・渋谷で行われた「Amazon Fashion Week Tokyo 2019 S/S」でコレクションを発表した。

CHEDSTUDIO
デザイナー自身の90年代の記憶が影響を強く受けていると語る。マニラから出発したブランドらしい、日本では見られない熱帯地域のリーフモチーフを大胆にあしらっている。ダンスを踊る人々が描かれたデザインから、フィリピン人のよく歌ったり踊ったりする陽気な国民性が反映されている。日本にいながらも、フィリピンの空気が感じられ、見ている人の南国への憧憬を強める。CHEDSTUDIOの出発点は自分の手で何か作りたいという想いからだった。それは今も変わらず、全ての服はオーダーメイドである。
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OTTOMONDI
他のデザイナーが南国をイメージさせるモチーフをちりばめる中、モノトーンでシンプルで均等なパターンを大胆に使っている。
東南アジアの兵士からインスピレーションを受けたということだが、ビッグサイズのポケットや長く垂らされたベルトから、東アジア鎧が思い起こされる。また、綺麗に整列したような兵士を思わせるモノトーンのチェック柄。今回は日本でのショーということもあり、侍の甲冑を思わせるアイテム(写真)が多かった。デザイナーは中国のカルト山脈に向かう現代の兵士を表現したらしい。現代的なデザインだけでなく、時代に縛られない昔風の衣服を合わせた作品を生み出したいというスタンスを持つデザイナーの想いが伝わる。
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Renz Reyes
ファッションだけでなく、インテリアや映画などの視覚的・映像的なものからインスピレーションを強く受けると語るデザイナー。特に、映画からの影響は大きく、ファッションデザイナーになるきっかけとなったのも、映画の中に登場する服に興味を持ったのが始まりだった。彼の作品には映画のように動作の奥行きが感じられ、物語がある。服一つ一つが物語を秘めて、ランウェイを歩いている瞬間その物語を語ってくれる。彩の余韻が、短編ムービーを見終わった後のような鮮やかさを残す。そして、注目したいのは南国の島国であるフィリピンを彷彿とさせるたくさんの鳥のアップリケや揺れ動く波を思わせるパターンだ。それらはさりげなくちりばめられているが、しっかりと主張を忘れていない。現代的なデザインに仕上げ、抵抗感なく着てもらいたいという想いと合わせるために、彼のデザインには無駄な派手さがないように絶妙に計算されつくしてある。afmt40

BENCH/
1987年の創立から、フィリピン国内のカジュアルファッションの中心的存在のBENCH/。メンズファッションのブランドとして始まったが、今ではアクセサリーやコスメまでも取り扱い、グローバルな進出も目覚ましい。今回のテーマは南国の休暇。赤、黄色、オレンジのポイントカラーやトロピカルなパターンが見る人にきらめく太陽に照らされた理想の日常を視覚的に提供してくれる。またアメリカテイストなトップスやアウターも多く見られた。デザインにはスペイン、中国、アメリカ、メキシコなど多くの文化が混ざり合って共存しているフィリピンの国事情も深く関わっていると語るデザイナー。自国のデザインだけでなく、海外のトレンドやテイストも混ぜた新しいフィリピンに魅了された。afmt57


これからを期待されるフィリピンの勢い。自国のモチーフをベースにヨーロッパやアメリカのテイストを織り交ぜ展開されるコレクションは未来的だった。今後のアジアのファッションをどう引率して行ってくれるか楽しみだ。

Text / 荘あかり
Photo / 佐藤楓