Fashion, Collection, Tokyo 2018 S/S

AKIKOAOKI 18S/S Collection



青木明子が手がけるAKIKOAOKI(アキコアオキ)
が、10月17日、表参道ヒルズにて2018年春夏コレクションを発表した。ファッションウィーク中のランウェイ形式での発表は三回目となる。


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AKIKOAOKIは、最近流行っているようなストリートスタイルとは一線を画した、女性らしさを軸に独自の世界観を展開しているブランドである。ブラジャーなど、本来ならばインするものをアウトしたりと私達が持っていた既存概念が打ち崩されるデザインも特徴のひとつだ。

来季のテーマは「ループ」と「淡さ」。
「始まりと終わりのないループ」と「白黒をつけない”曖昧”な日本独特の価値観」、答えを出さない「グレーゾーン」に着目しデザインしたという。それぞれのルックでは、現に存在している物の中に別角度での視点を置き、そこから様々な形で展開をしていた。


こちらのルックでは、一見女性らしいトップスとプリーツスカートだが、本来は製作の過程で縫い合わされてしまう、女性らしいラインを作り出すために必要な”ダーツ”をそのままにしてデザインされており、女性らしさの境界を”曖昧”にしているルックであった。
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こちらは最後のルックだ。体の前面に取り付けられているのは解体されたコルセットである。これに関して青木氏は、「3Dである体の上に、2Dを貼り付けた」と述べている。2Dが3Dへ変化していくという”曖昧”なループが生まれ、今までにない斬新さを感じた。
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フィナーレではモデルを並べる演出でコレクションのループを表現。「一体一体の洋服として完結するより、広い視野、客観的な視点で全体的に見て欲しい」と青木氏は語った。


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青木氏がどのような部分に着眼点を置きファッションというものを発信していくのか、 今後の展開が予想がつかないという良い意味で“曖昧”だとも言える、今後注目するべきデザイナーである。

今回のテーマ、「淡さ」と「ループ」は、インターネットにおけるファッションの生産者と消費者の関係とリンクしていると感じた。

ネットが普及して以降しばらくはインターネットとリアルを別ものとする風潮が強かったが、SNSが普及してからというものの、ネットと現実世界の境界線は段々と曖昧になっていった。むしろ、SNSは現実世界をより深く、より濃くしたようにすら見みえ、生活サイクルの中でも大きな存在へと変化した。
例えばファッションに関しても、以前は、洋服を買う際はショップに足を運び実際に商品を手に取って気に入ったものを買うというのが主流だった。しかしここ数年の間に、ネットショッピングのサービスが大きく進歩したり、ブランド側がfacebookやInstagramを通じて消費者へとあらゆる情報を発信するなどしたために、直接店舗へ足を運ぶ意味が薄れてきているように感じている人も少なくないはずだ。気になった商品をネットで見つけ、また更にネット上で深掘りして購入まで至る、この意思決定の過程をネット上で完結させて満足している人が多いのではないだろうか。
今の時代、自らファッションに触れたり、美術館や本屋へ足を運ぶという人は少なくなり、本や雑誌に関しては将来的には無くなってしまうかもしれないなど、悲しい現実が目の前に迫って来ている。

これからのファッションに対する私達の態度はどのようになっていくのだろうか…

ファッションブランドの良さ、コンセプトイメージをSNSで表現するというのが当たり前になった今。
生産者も消費者へブランドのそれぞれの良さをより理解してもらえるような場を作り、一般消費者が直接にファッションブランドへ触れられるような機会をつくることが今の時代には必要である。
まさしく東コレのような門戸がより多くの人に開け、ファッションの未来がもっと明るくなることを願っている。

Text / 遠藤 花菜
Photo / 佐藤 楓