Fashion, Interview

デザイナーインタビュー 日置貴哉(TAKAYA HIOKI)

“今までなかったものを”というのは強く意識して作っています



今回はヴィンテージ解体をして作り上げたパッチワークアイテムを多く手掛けるブランドTAKAYA HIOKI(タカヤ ヒオキ)のデザイナー日置貴哉さんに話を伺った。

―――デザイナーになった経緯を教えてください。

中学生くらいの頃から服に興味を持ち始め、ファッションに対する情熱は年々高まっていき、高校卒業と同時に文化服装学院(以下、文化)に進学したいと考えていました。しかし両親はアパレル業界に前向きではなくて。反対があったので一度は4年生の大学に進学しました。その後普通に就職したんですけど、やっぱり諦め切れなくって。そこで自分でお金を貯めて文化に進学しました。

文化に入学する一歩前には、自分は人に着せ付けるのが好きだと思ってスタイリスト科に入りました。学校に通いながら、当時原宿にあった古着屋でアルバイトをしたり、sunaokuwahara(スナオクワハラ)やNICK NEEDLES(ニックニードルズ)でのインターンをしたりしました。NICK NEEDLESのデザイナー健太さんから服の作り方を教わり、服の成り立ち方、パターンを理解しました。こうすればどういう形になるというのが分かり、作れるもの、作れないものも分かるようになりました。それで今に至るといった感じです。

―――TAKAYA HIOKIといえばパッチワークアイテムという印象があります。パッチワークのアイテムについて詳しく教えて下さい。

古着屋でアルバイトをしていたようにヴィンテージからレギュラーまで幅広く古着が好きで、そんな古着を活かせるアイテムを作りたい。また、古着がなかなか売れなくなっている今、古着の良さをもっと多くの人に知ってもらいたいという想いから、現在のデザインに落ち着きました。
パッチワークに使われているのは全て古着で、リサイクルショップで販売しているようなものではなく、US古着などある程度の基準を守ったものです。大体40年代から80年代のものが多い。自分の目で見て質の良いものを選ぶようにしています。そのまま着るにはデカすぎるサイズのものなどは安くなりやすいのでよく買います。

これがこの位置にくるようにと計算してからパッチワークの大きな一枚布を作ります。そこからパターンをひき作っていく感じです。それぞれの枠組みのサイズや色のバランスには気を使いますね。等間隔の幅だったり、正方形のみだったりと、シーズンごとにパッチワークの形を変えることもあります。

―――ヴィンテージのパッチワークは時間もコストもかかるものだと思います。それでもパッチワークのアイテムを作る理由や、パッチワークにしか出せない魅力があれば教えてください。

ヴィンテージに使われている布地は現在生産されている布地とは全く製法が違っていたりして、もう製造されていないものもあります。また時間の経過による味わいの変化があって、これらは新品の布地には出せない風合いを生み出します。
異素材を組み合わせることによって他のどのブランドにも出せない自分だけのオリジナルな布が出来ます。テキスタイルを作りたいと思ってもお金が結構かかるんですね。でもヴィンテージ解体をすれば自分だけの柄が作れるんです。そこが魅力ですかね。

―――服を作る上で大切にしていることがあれば教えて下さい。

縫いの細かさ、精度ですね。全て自分で縫っているので。学生時代ではスタイリスト科で縫うことにそんなに慣れていなかったので、初めは色々な方に迷惑をおかけしました。縫いの精度で見栄えがかなり変わってくるので、気を遣うようにしています。
また、素材の品質を大切に。デニムならヴィンテージのリーバイス501を使うなど市場価値の高いものを使うようにしています。

ヴィンテージ解体の他に展開している新品のアイテムでは、何通りもの着方ができる服などを作っているんですね。気分によって着方が変えられると面白いじゃないですか。新品、ヴィンテージ解体アイテム共に“今までなかったものを”というのは強く意識して作っています。

―――最後に今後の展望があれば教えて下さい。

ブランドを多くの人に知ってもらいたいですね。そのために取扱い店舗を増やすこと。現在は原宿のXANADU TOKYOさんを含む4店舗のみなので。
コレクションに関しては、それを服にしたことがないような服以外の布製品をリメイクして作品を作ってみたいと思っています。今まで通り、自分にしかできない面白いものを、これまでなかった新しいものをというのは大切にして展開していきたいと思います。




以下が日置さんによって作られるパッチワークの布たち


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TAKAYA HIOKIの手掛けてきたコレクション


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取材に協力してくれたXANADU TOKYOさん


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日本人若手デザイナーブランドのセレクトショップ。
モードやドレスアップブランドを中心においている。
NICK NEEDLES、TAKAYA HIOKI、ROGGYKEI、Nyte、ANNDIRK IZM、f.m.mauvaiseなど15から20ほどのブランドを毎回取り扱っている。

東京都渋谷区神宮前3-34-7 (PRAZA F4) 4F
TEL:03-6459-2826
営業時間:13:00-20:00
定休日:木曜日


text/Akane Sato