そこにあるのは違和感ではなく、絶妙さ。
恵比寿のザ・ガーデンホールにて、HIROKO KOSHINO(ヒロココシノ)の2016-17年秋冬コレクションが発表された。
コンセプトは『混沌 あるいはアジアの美しさについて』。
あなたがどんなにわたしを変えようとしても、わたしの髪、わたしの眼、わたしの言葉はわたしのもの。それでもあなたから影響はけっして小さなものではなくて、あなたのコンテンポラリーな感覚はわたしの中にたしかに溶け込んでいる。そして獲得したより一層新鮮な表情で、ほら、わたしはこんなにも鮮烈な混沌を身にまとう。
今回のコレクションはソロのチェリストによる優雅な生演奏から始まり、ファーの帽子とアイメイクが印象的なスタイルでモデルは赤いセットの中から姿を見せた。
ショーは大きく分けて5つに分かれており、そのスタイルから神社仏閣などを彷彿とさせるような縄が印象的なブーツや、風俗画のような柄のコート、また家紋のような紋様が印象的なものなど、今回のコレクションのテーマらしくアジアの美しさを強く感じさせた。
しかしそれを表現するのは和服ではなくあくまでも洋服。これは『混沌』だろう。
ただ、そこにあるのは違和感ではなく、古き良き日本の文化と最新の流行を絶妙に織り込んだコレクションだった。やはり大ベテランであるデザイナーのコシノヒロコ氏の力量には流石としか言いようがない。
text/Fumi Suwa
photo/Maco Seto