Fashion, Collection, Tokyo 2016-17 A/W

Asian Fashion Meets TOKYO (Indonesia)

宗教服(コード)とファッション(モード)の交差点には何がある?今のファッションシーンはコードか、モードか。-Norma Hauri


日本は案外ファッション発信地!?-byvelvet


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今回のAsian Fashion Meets TOKYO の2つ目となるのはIndonesia Fashion Forward(IFF)とのコラボにより実現し、インドネシアから2つのブランドが登場。



Norma Hauri

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デザイナー:Norma Moi
ブランド創立者でクリエイティブ・ディレクター。小さな頃からファッションデザイナーになることを決め、その夢を叶えて日本という海外シーンでの披露も今回果たした。2004年にはメイクアップアーティストの学位も取り、メイクについての知見も持ち合わせている。彼女の作品のほとんどが古い映画からインスパイアされていて、グレタ・ガルボ、オードリー・ヘップバーン、グレース・ケリー、エリザベス・テイラーなどの女性像に強く共感。その女性像がブランドにも反映されている。ブランドがイメージするのは積極的かつ謙虚な女性像で、女性における格差をファッションで埋めることを目指し、現代的なムスリムファッションでインドネシアを代表しているブランドのひとつである。

About collection
彼女が生まれたインドネシアを表現するためボルネオ(インドネシア・マレーシア・ブルネイの領地を持つ、世界面積第3位の島)の文化をイメージ。昔のボルネオは好戦的な面もあり、首刈りの習慣があったという。戦いで命を落とした戦士が天国までの道を迷わないように死後の闇を照らす明かりとしてボルネオフラワーと呼ばれるタトゥーを掘っていたようだ。現在もそれらはトライバルタトゥーという形で日本人も入れていることが多い。そのボルネオの「戦士たち」の逞しいエッセンスを盛り込んでいる。また、日本での発表ということもあり日本文化も意識しているため、目元の舞子さんのような赤いアイラインや忍者のようなヘッドドレスを着用して、肌を隠す宗教観をうまく日本のものとマッチさせた印象。

彼女へのインタビューでは「ムスリム文化もファッション性も追求したかった。だが、美の哲学は文化が違ってもどこも同じだと思っています。」とかなり真剣な表情で力強く語っていた。本来、宗教に用いられる服は「コード」、「制服」であるが、それを「ファッション」、「モード」のという本来は真逆の価値観が今回交差することとなった。これは東京の普段のファッションウィークではあまり起こり得ないことではないだろうか?日本でも着物の文化はあるが、着物を24時間着なければいけない習慣はない。日本では仕事以外でコード、制服を着て生活する人はほとんどいないのである。しかし 日本では「量産」という言葉を聞いて久しいくらいに同じものが溢れかえっているように感じられる。ファッションではこれを着なければいけないなどというものはないはずである。昨今のファッションシーンでは制服から解放されているのにも関わらず「コード」を着てしまっているのではないだろうか。


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byvelvet

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デザイナー:YESSI KUSUMO・RANDY W. SASTRA夫妻

YESSI KUSUMO
byvelvetのアートディレクターを務める。中世の建築家に影響を受けており、コレクションにこれを大きく反映させている。彼女は言葉ではなくイラストを用いてアイデアをビジュアライズしてブレインストーミングする「ビジュアル・ブレインストーミング」を得意とし、直感的なアイディアをそのままデザインから生み出している。これはCHANELのカール・ラガーフェルドも同じような手法をとっており、彼も絵を描き続けてそこからアイディアを生み出す、いわゆる直感タイプのデザイナーである。

RANDY W. SASTRA
byvelvetクリエイティブディレクターを務めており、ブランディング、ビジネス面を担当する。彼は映画に登場する美術系など、もとからデザイン性のあるものにインスパイアされることが多いという。彼もまた、建築家としての経歴を持っており、彼の哲学である「LESS IS MORE(少ないほど豊かである)」は20世紀のモダニズム建築を代表するドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉である。

About collection
アースカラーも貴重とした今回のコレクションは日本を意識したというデザインの中にはプリーツやワイドパンツ、のっぺりとしたシューズが多く見られた。ISSEY MIYAKE、YOHJI YAMAMOTO、Comme des Garconsが一斉を風靡したあの時代が今回の「日本らしさ」というもの繋がっているようにも思える。日本のグラフィック、文化、特にレイヤード感に関しては意識した部分が大きいという。日本からインスピレーションを受け、新しい形を作ることに喜びを感じていたと語る彼女の隣で、夫のRANDY氏は日本のチームとの共同作業についても語った。「日本のチームの仕事の仕方もデザインとは別の部分で参考になりました。日本で得たことはかなり大きいものになります。」と初の日本での発表だということもあってか、少し緊張した表情で語ってくれた。

日本はアジア圏だけでなくミラノやアメリカも年に一度は訪れるデザイナーが多い。PRADA、Miu Miuのデザイナーであるミウッチャ・プラダも渋谷に訪れてその時のギャルのひいていたアタッシェケース、いわゆる「ゴロゴロ」を見て自身のコレクションに盛り込んだり、「アメカジは日本に行けばある。」と言われるほど日本は独特な文化変遷を遂げ、かなり注目されている。日本は日本人が思っているよりも案外ファッション発信地なのかもしれない。


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text/Kaito Fujita

photo/Hiroshi Nagayama