Fashion, Collection, Tokyo 2016-17 A/W

haori de TiTi 2016-17 A/W collection

“紋様”のストーリーを身につける

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今回もhaori de TiTi(ハオリ・ドゥ・ティティ)のインスタレーションが青山のsalon de TiTiで開催された。

今回のテーマは「和の紋様」。日本の民族衣装である着物は、シルエットではなく色と柄がデザインの大きな柱になると言う考えから、その「色彩」と「柄」に注目して現代の「見立て」に解釈・表現。ピアノの優しい音楽が流れる中でルックが展示され、それぞれの紋様を様々な手法でルックに表現している。


 

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「梅」紋様のルックではシルクのくるみボタンとして表現。色合いを段階的に6色に分け、腰周りを絞った黒いドレスにあしらっている。ボタンの配置は不規則ながらも梅の花が散っているような流れを感じられる上品なものに仕上げており、普段使いやパーティーなど様々なシーンで映えるデザインに昇華されている。

ルックの中にはアクセサリーとして表現されるルックもあり、「鶴」紋様はアールデコ調のネックレスになっている。「鶴」は古くは「たづ」と呼ばれて「神鳥」と考えられていた。中国では千年生きるとされ、日本でも平安時代から延命長寿の鳥として崇拝される存在であったという。古くから親しまれてきた紋様にはそれぞれストーリーがあり、この意味合い深い紋様を身につけることで単に身につけるという行為をアップデートさせた作品が展開された。


 

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また、前回も機織りの実演があったように、場内では「紋章和絵」の実演を披露。紋章和絵とは「紋様」を薄い紙に切り込み、その下に紙を敷いた後に上から染料を手で摺り込んでいくというもの。かすれ具合や染料のしみ込み具合などが人によって異なるため、同じ紋様でも誰がやっても同じものはできず、ここに「あじわい」というものが生まれるのだ。今日のファッションシーンにもこの「人それぞれの違い」というものが薄れていると問題にされたりするが、こんな風に「古き」のなかの「良き」から学ぶことも必要なのではないだろうか。

text/Kaito Fujita

photo/Chie Takagi


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