Interview

繊細で美しい少女を描き続けるイラストレーター エスコさんへのインタビュー

イラストレーターとして幅広く活躍する エスコさんへのインタビュー


エスコ3「きまぐれポニーテールで待ってる」(2013)


今回お話を伺ったのは、独自の感性で絵を描き様々な分野で活躍しているイラストレーターのエスコさん。

エスコさんの描く繊細で美しい絵はどのようにして生まれているだろうか。

—–絵を描くようになったきっかけを教えてください。

 「初めて絵を描くようになったのは幼稚園生くらいのときです。親戚のお姉さんに絵が上手な人がいて、自分もそのお姉さんみたいに絵が描けるようになりたいと思って描き始めたのですが、自分の描く絵が今のような画風になったのは、高校生くらいのときですね。倫理の授業で使っていた教科書にクリムトの『接吻』という絵が載っていたんですけど、女性がとても官能的に描かれていて、とても衝撃を受けました。」

—–クリムト以外に影響を受けた画家などはいますか?

 「クリムトの他には、宇野亜喜良さんやオードリー川崎さんですかね。すごく影響を受けてしまうので、なるべく他の人の絵をみないようにしてきたんですけど、ここ最近色々な画家の絵をみるようになってきていて。最近だと、あけたらしろめさんとか。色んな方から影響を受けてる気がしますね。」

—–画家以外に、景色や音楽など自分が作品をつくるときにインスピレーションを受けるものはありますか?

 「キラキラするものが好きで、夜景だったり、地元にいるときにみていた夜の海に停泊している船の光だったり、グリッターやラメだったり。女の子もそうだし。それらが私の中では全て同じ引き出しに入っていて、絵を描きたいというスイッチを押している気がします。音楽だと、Charaさんの『やさしい気持ち』とかも私のスイッチを押してくれる曲ですね。」


エスコ2「花の夢」(2014)


—–エスコさんの絵は繊細でどこか儚い女の子たちが多く描かれているような印象を受けますが、それについてなにか思い入れなどはありますか?

 「自分の性格に起因する部分が多い気がします。よく明るい性格だと思われがちなんですけど、実際は一人でいることが好きだったりして。実家が沖縄なんですけど、地元にいるときは2時間くらいただ海を眺めたりすることもよくありました。でも、東京に来てからそういうことがなかなかできなくなって、その代わりになるものが絵を描くことだったんです。地元にいるときのことを思い出して絵を描くと、そのときの感傷的な気持ちだったり、景色が湧いてきて、自然と描く女の子たちもそのような表情になるんだと思います。」

—–では、エスコさんにとって女の子ってどのような存在ですか?

 「端的に言うと、女の子は、憧れで、かつ自分のコンプレックスの裏返しというか。世の女の子を見ていると、みんなキラキラしていて、自分に持っていないようなものを全部持っているような気さえしてくるんですよね。そういう女の子には自分は届かないけど、絵に描くことはできるので、キラキラ輝いているものを見ると、衝動的に描いてしまいます。」

—–男の子の絵を描くこともあるんですか?

 「めちゃくちゃ稀にあります。たまたま描いてた女の子が男の子っぽくなっちゃったときとか(笑)描いてて気持ちが良いのは女の子なんですけど、描いてると段々中性的になったりもするんですよ。これ男にも見えるなって。あんまり性別を意識したことはないですね。」


エスコ 「いつかはあなたも消えるんでしょう?」(2014)


—–絵を描くときは最初に描く対象の設定を決めてから描き始めるんですか?

 「全く考えずに描きますね。インスピレーションを受けたときに、なんとなく紙に向かうと、手が勝手に動いてくれるというか。そのときの気持ちが乗ってくれると、ちゃんと描けるし、逆に自分の気持ちが荒れてたり、乗っていないと、描こうと思っても描けないんですよね。なので、こういうものを描いてくださいと指示されるようなお仕事では、結構苦悩しながらの作業になります。」

—–沖縄でみていた景色と東京でみる景色の両方からインスピレーションを受けることがあると思いますが、それぞれに受けたものによって作品はどのように変わりますか?

 「沖縄にいるときは、自然の方が多かったので、肌に受けた自然や気温の感覚をそのまま“色”に出したりして絵を描いていたんですけど、東京に来てからは、沖縄で直接感じていた自然のイメージを思い出して、感覚をわかりやすく“形”で補おうとしている部分があります。東京にない感覚を絵の中で補おうとしていることが多い気がします。」

—–絵の根本は沖縄にあるということですね?

 「沖縄での暮らしが長かったというのもあるんですけど、絵を描くにあたって根元になる気持ちが湧きたてられたのが、沖縄に暮らしていたときのものなんですよね。それに、思い返すと、東京に来てから出歩くことが少なくなった気がします。景色をみるにしても、仕事の通勤途中に電車から見える景色とか帰り道歩いているときにみる景色ぐらいなので。」

—–絵以外に映像美術のお仕事もされているようですが、どのような経緯でそのようなお仕事をすることになったのですか?

 「以前映像関係のことをやっている友達と『ピンクじゃなくても』というグループを立ち上げて映画を撮ったことがきっかけですね。その映画をみてくれた方たちからお話がきて、プロモーションビデオなどの映像美術に携わるようになりました。一昨年にそのグループからは抜けてしまったんですけど、未だにメンバーと交流があるので、その繋がりで映像の方でも自分の絵を起用してもらったりしています。」

—–では最後に、今後描いてみたいものや、絵以外にやってみたいと思うことがあったら教えてください。

 「最近ようやく自分の描く絵に自信を持てるようになってきたので、苦手なものをどんどん描いていきたいなと思っています。苦手なものの一つに食べ物の絵を描くというのがあるので、そういうものを一つ一つ克服していきながら描いていきたいなと思います。あと、やってみたいことというか、やろうとしていることの一つに、今まで描いたドローイングをまとめて一冊の本にしたいなと思ってます。それに、大きい絵を描く機会が滅多にないので、そのような絵を描いてみて、機会があればライブペインティングもやってみたいです。」

—–ありがとうございました。


エスコ4「港のポーレチカ」(2013)


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