現役武蔵野美術大学生・中山千佳さんの作る
かわいらしくて、少し毒っ気のあるアクセサリー
かわいらしくて、でも少し毒っ気のあるアクセサリー。「指ピアス」と「ばんそうこうブローチ」。このアクセサリーを作っているのは、現在武蔵野美術大学に通う中山千佳さん。大学では、舞台に関わる勉強に励んでいるそうだ。「舞台って、その瞬間にしか残らないから継続的に作品と向き合わないといけないと思う。だから、授業で得たことをふまえて、個人でもうちょっと踏み込んでみたりする。作品を作るのは、生活の一部。」
そんな中山さんが、「指ピアス」と「ばんそうこうブローチ」を作り始めたのは高校生の時だそう。
「よく作り始めたきっかけを聞かれるけど、意外とこれだっていうきっかけはない。何年も自分の中に積み重なっていた思い出や経験が、ふとした瞬間に出てきてこの作品が出来た。福引きのガラガラが頭の中に入っていて、ある日ぽんぽんと出たきた感じ。でもあえて言うなら、昔ものすごい勢いで指から血が出てきて痛かった。その時の恐怖感だったり、ばんそうこうを貼った時の優しさや安心感が自分の中に強く残っていたのかもしれない。あと作品を作る時は、痛みや傷だったり負の思い出がベースになっている。辛い事でも、それと向き合って作品として形とすることで一区切り付けられる気がする。負から逃げるんじゃなくて、乗り越えていきたい。」
インタビューをする以前に作品の名称を伺ったところ「特に(名称への)こだわりはない」と言っていた彼女。
「ばんそうこうは、ばんそうこうだと思ったから。名前よりもこだわらなきゃいけないことが自分にはあると思った。それが面白さであったり、作品を手に取ってくれる人に対する優しさだと思っている。このアクセサリーを身につけることで会話が生まれたり、クスって笑ってもらえたらいいなと思いながら作品を作っている。」
一つ一つを手作りで製作している彼女だからこそ、手作りに対する思い入れは人一倍強かった。
「最近手作りが流行っていて、手作り感のものがあふれているけど、本当にそれでいいのか疑問に思う。それは、妥協でしかない気がする。個人的には、取っ替え引っ替えするんじゃなくて、大事に、大事にしたいし、自分の作品もそう思われたい。安く、たくさん作ることが良い事だと思わない。大人の事情だって分かる。けれど、自分はそこに重点を置きたくない。自分の可能な限りの最高のクオリティーの作品を届けたい。」
もがきながらもまっすぐな眼差しで語る彼女。最後に今後の展望を聞いてみた。
「『大学生』でなくなった時が、本当の勝負かなって思う。でも、いつでも自分の体験と向き合って作品を作り続けたい。自分でもよく分からないけど、自分に問い続けたいし、そうしなきゃいけない気がする。自分に出来ることをこれからも全力でやり続けたい。」
彼女の作品は代官山にあるセレクトショップAquviiにてご覧頂けます。