インドネシア発、RANI HATTAとbateeqによる合同ショー開催。
渋谷ヒカリエホールAにて、Asian Fashion Meets Tokyo(Indonasia)のコレクションが披露された。2ブランドそれぞれが、宗教文化と伝統文化という明確なカラーを示しつつ、自らのインドネシアンファッションを自信をもってアピールしていたことが印象的だ。
特に、RANI HATTAのムスリムルックはどれもラグジュアリーかつスポーティーであり、想像していたより遥かに現代風で洗練されていたことに驚いた。世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアでは今、ムスリムファッションが非常に盛り上がっていて、世界単位でも注目度の高いトレンドのひとつ。「他にももっと奇抜で素晴らしいムスリムファッションデザイナーたちがたくさんいる」と溌剌とムスリムファッションの魅力を語るデザイナーのラニ・ハッタ氏からは、自負と将来への期待が感じられる。
両ブランドから私に強く伝わってきたのは、「誰もが着れて、クールになれる服」にフォーカスすること。宗教や伝統を積極的に「個性」に落とし込み、未だ発展途上である自国にファッションの楽しさを常に提案してきた彼女たち。ハンデともなり得るようなバックグラウンドを極端に否定するわけでも肯定するわけでもなく、「ファッションって楽しい」という純粋な気持ちを大切にしながら自分たちの作り出す文化を堂々と発信していこうとする彼女たちは、覇気に溢れていてかっこいい。インドネシアは私たちにファッションの魅力の真髄をひとつ、再認識させてくれた気がする。
Text/上田早織
Photo/秋山萌々子