9月14日から23日までポップアップ型百貨店イベント、246stMARKETが開催された。注目のスタートアップブランド、13ブランドが集まり、ポップアップという形で出店した。会場は、青山通りに面するワールド北青山ビルの一階である。通りに面した南側一面がガラス張りになっており、外からの視線も自然光も入りやすい。
什器は、建築家の百枝優氏がサステナビリティをコンセプトに設計したものが使われた。
デザインは、すべて屏風のような形をベースにし、丸めて星型となったり、板をつけて棚となったりと発展する。什器の角度と寸法は、すべて30 45 60 90 120(度または㎝)のいずれかに統一されており、そうすることによって端材が生まれにくく環境にやさしくなっている。
各60度ずつの正三角形で作られたゴミ箱。
会場の椅子や試着室も屏風型のベースに板などをつけて作られている。
什器の”動かせる””折りたためる”というデザインがサステナビリティというコンセプトに重要になっているため、製作の依頼は、家具職人ではなく、開閉の動作に長けている建具(扉や窓など)の職人にされた。
これらの什器は簡単に折りたためられ、まとめたら4トントラック一台で運ぶことができる。
今回はオフィスビルのエントランスホールにて開催されたが、晴れた日なら広い芝生の上でピクニックスタイルにでも使用できるし、横に倒してトンネル型にすれば子供の遊具など什器以上の使われ方の可能性も広がっていくだろう。
百枝氏のつくるサステナブルさは、”動く””折りたたむ”というシンプルな動作によって簡単に多様に扱える、そして華やかでありながら木の材料が訪れる人を落ち着かせ魅力的であるということに落とし込まれた。画面の中にあった店が空間になるというストーリーと、畳まれていた什器が広げられて立体になるというストーリーのリンクが246stMARKETというイベントをよりロマンチックにしたのである。普段空間を持たないそれぞれのブランドたちを包み込みながら会場に統一感を持たせた什器は次にどんな使われ方をするのだろうか。
text, photo/越智柚月