繊細な羽
3月23日土曜日、Amazon Fashion Week Tokyoにおいて「Nobuyuki Matsui」 のコレクションが発表された。
今回コレクションが発表された会場は、渋谷ヒカリエ9FのホールA。比較的広い会場にも関わらず、用意されていたのは細長いたった一本のランウェイのみだった。このような形でコレクションを発表した理由として、デザイナーの松井氏は、身の丈にあったショーがしたかったと述べていた。小さなアトリエで一つ一つ、手作りで洋服を生み出している松井氏。謙虚な姿勢から強く伝わる洋服への想いが、コレクションからも滲み出ていた。
テーマは、afwtにちなんで、アマゾンのモノを使った。地面には羽毛が入った緩衝材が何個も乱雑に置かれていて、モデルがランウェイを歩くたびに緩衝材が破裂し、空間にジャケットの素材となる羽毛がヒラヒラと漂っていた。
「洋服って?」これがNobuyuki Matsuiのブランドテーマだ。今回は緩衝材の中の羽根や、残りものになりがちな牛の骨など “アマゾン” の動物たちにも焦点を当てるなど、生命や自然を通して洋服の大切さを表現した。
何かを表現するにあたって、一番ダイレクトに伝えるのは、見た目、外見(洋服も含め)だと思う。洋服を通じて思いを発信するなんて、なんと素敵なことだろうか。洋服は自由だ。無限大だ。繊細な思いもはたまた大胆な気持ちも洋服に乗せて表現してみるのはいかがだろうか?
text / 小松未奈
photo / 光菅悠妃