ユニフォームと民族衣装
8月30日、STUDIOMOURIS ROPPONGIにてAKIKOAOKIの2020年春夏コレクションが発表された。
タイトルはギリシャ語で「ひとつ」を意味する”monos”
”ユニフォームと民族衣装”がテーマのコレクション。
現代社会におけるユニフォームとはジャケットやシャツ。一方で民族衣装とは我々にとって馴染みがなく、非日常的なデザインであっても遠くの国の彼らにとってはそれも紛れもないユニフォームであるはず。現代における記号としてのユニフォームと、民族衣装の精神的なユニフォーム。今回はこの2つのキーワードから始めたというデザイナーの青木明子。
これまでもブランドの重要な要素として存在していたユニフォーム。今回は東洋的な民族衣装が着想源となった。
1枚の正方形の布から派生されるコントロールのできないドレープやシェイプといったボリュームに重きが置かれていた。
布を巻いただけような民族衣装らしい原始的なルックが登場した一方で、シャツやジャケットの要素と民族衣装を再構築したデザインも展開された。
演出面では民族の土着的な印象とは真逆に白とミラーの縦長オブジェによってプロップが組まれ火星にあるとされる謎の建造物「モノリス」がイメージされた。
そして今回ヘアメイクはRMKのサポート。ナチュラルなベースメイクと艶っとした目元のブルー、眉や髪型も印象的だった。
前回2019年秋冬のプレゼンテーションではプライベートな空間が表現されたが打って変わった今回、フューチャリスティックでオープンな演出でまとめられ、真っ白な会場からも月面のような雰囲気が取れた。
生地を贅沢に使用し、自然に生まれるボリューミーなひだが美しいオールインワン。
男性的なグレンチェックやシルエットのものが多く見られたがリボンやコルセットによって女性らしさがプラスされる。
ユニフォームがモチーフになったが胸元はざっくりと開いたルックが目立った。決して、重たくならずそして上品で美しい。
黒、白、ベージュのアイテムがほとんど。時々登場するライトブルーのストライプや水色が春を感じる。
AKIKOAOKIの表現する女性は麗しい。限りなくベーシックな質感ながらもそこには確かに存在するフェミニティ。洗練されたクレバーな女性の像が私の頭には浮かんだ。
Text/櫻田美羽
Photo/ official・田近咲菜