Fashion, Collection, Tokyo 2019-20 A/W

RYOTAMURAKAMI 19A/W Collection

自らを開放する服

3月20日、渋谷ヒカリエにてRYOTAMURAKAMIの2019年秋冬コレクションが発表された。
前回東京コレクションの公式スケジュールとは別枠でラフォーレミュージアムにてインスタレーションでの発表をし、東京コレクションへの参加は1年ぶりとなった。

今回のショーのテーマは「悪夢」
2017年秋冬コレクションまでは、村上亮太とその母親・村上千秋の親子2人でデザイナーを務めていたが、2018年春夏コレクションより村上亮太一人での制作になった同ブランド。
その後、母親が1人で服作りを始めたという。
しかし「母親は知識がなく、めちゃくちゃな服作りをする。」と話すデザイナーの村上。
肩パットを柄として使用する他、裏地の作り方が分からず同じ服を二枚作り裏につける等、、、村上家のほっこりとする話を伺うことができた。
”自分がそれでいいと思ったものを作る母親”を見てファッションはそれくらい自由で、無責任でいいのではないかと感じたそうだ。
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つぎはぎのようなニット。
背中のボタンは掛け違えたようなデザイン。
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モデルの髪の毛は立てられていたり、下着を前後逆に着用して背中から覗かせるなど、遊び心が満載だ。
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忘れられがちであるが、もともとメンズブランドであったRYOTAMURAKAMI。2016年ぶりにメンズを復活させたのも印象的であった。
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そして、ランウェイにアートワークを入れたいという思いで、広めに作られたランウェイには母親のイラストをモノクロにし、コラージュしたプリントが施されていた。モデルの持つ絵はイラストの一つである。
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デザイナーは1人になったものの母親の自由な発想が刺激となり制作されたコレクション。
ファションにおける”自由”は作り手だけでなく私たち消費者にとっても重要である。
他国に比べ「あまりに個性的な服は目立ってしまうから選びづらい」という意見が多い日本。”目立つことは恥ずかしい”と考える人があまりに多いのではないかと感じる。近頃話題になっている就活における化粧や髪型も同様の問題だ。

ファッションは誰かの為ではなく自分の為であるべきだと思う。
自由なファッションができる寛容的な社会になり、ファッションで自己表現する人が増えることを願うばかりだ。

text / 櫻田美羽
photo / 中村宜嗣