2月15日、東京コレクションに先駆け「5-knot」は「TOLOT heuristic SHINONOME」で開催された。今期デザイナーは神秘の国スリランカへと飛び立った。自然と共存したことで自然に寄り添った暮らしが根付づきスリランカ特有の世界観が最大限に表現されスリランカの自然とともに暮らしその旅の時間が大事な時間であり一度デトックスして自分達が本当に大切なものや好きなもの、やりたいことは何かと自分自身と対話し考えて作ったコレクションであると鬼澤氏は言う。
鳥の鳴き声で目覚め
耳に響く雨音は真鍮の壺にしたたる雫
アイアンのフレームを吹き抜ける風
海の香りと緑の香り
自然と溶け合う
贅沢な時間
をコンセプトに鬼澤氏と西野氏の作り上げた世界観はまるで異国世界にいるような感覚に陥る。一目見ただけで脳内は自然で溢れる。スリランカへ一度も訪れたことのない私でさえもスリランカの風景を想像してしまうほどの影響力があった。
ナチュラルな粗野感を出すためにリネンを織り込んだウールストラップ
現地で使われていた紙ナフキン付近の柄を取り入れたレーヨンジャカード
光沢とマットな質感が対比するモールストラップ
ホテルで出会ったピーコックのプリント柄
スリランカ特有の民族衣装や現地で目にしてきたものをデザインに取り入れ、それをシルエットやジュエリーで表現。スリランカの民族衣装は一層鮮やかなカラーを用いることが多いが今回のコレクションでは対象的であるナチュラルカラーやクラシックカラーを最大限に取り入れモノトーンの多いデザインでスリランカ本来の雰囲気を感じさせる。そして「音楽・空間・光」までもがモダンでオーガニックな空気感を想像させる技巧であった。
スリランカを代表する建築家の Geoffrey Bawa (ジェフリー・バワ)が作り上げたモダンで自然に溶け込む建築、鉱物と金属の対比、鳥の鳴き声や雨音が響く贅沢な空間の中で過ごす時間。彼を通して伝わったスリランカの自然や自然から作り上げた美しいものを目で見て身体で感じそれらすべてをインスパイアし今回のコレクションは”空気感”を大切にして物語っていたのではないだろうか。
Text / 光菅悠妃
Photo / 中村宜嗣