Fashion, Collection, Tokyo 2019 S/S

JENNY FAX19S/S Collection


アメリカの田舎の女のコ


ジェニー・ファックス(Jenny fax)の2019年春夏コレクションが10月20日、渋谷ヒカリエにて発表された。

Amazon fashion weekの大トリを飾った今回のコレクションは、 「バレンシアガ(Balensiaga)」や「ヴェトモン(Vettements)」も手掛ける ロッタ・ヴァルコヴァ(@lootavolkova)がショーのスタイリングを担当した。
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2019年春夏コレクションのテーマは「アメリカの田舎の女の子」
先シーズンのテーマである「お母さん」に引き続き、今シーズンもだるんとしたゆるいシルエットが特徴だ。映画「ジェニファーズ・ボディ」のようなアメリカの田舎から連想される静かでのどやかな雰囲気から、言葉に表しづらいぞっとする不気味な怖さがショーの演出により一層目と耳で感じることが出来た。

会場に入るとそこは別次元であった。真赤に染められたかのような照明、中央には三本の鉄骨とその中に乱雑に飾られたソファーと椅子(個人的にそのソファーと椅子のデザイン好みだったのと触り心地がよさそうだった!)、カセットテープから流れているような男性の声、異質なランウェイの空気に誰もが固唾を呑んでショーの始まりを待っていた。
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ロックテイストのBGMで登場してきたモデルさん、ピエロのようで気味の悪い狂気を感じた。
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アメリカ南西部を連想させるフリンジがあしらわれたズボン。

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ボリューム感のある花柄のワンピースを纏ったモデルさん。ホラーな雰囲気から一変して、まるで平原にいるかのようなBGMが流れていた。
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‘普通’の女のコって一体なんだろうか。なにを基準にして‘普通’だと判断しているのだろうか。誰にでも個性はあるはずなのに。一人ひとりがカテゴライズされてしまう世の中で、「ジェニー ファックス(Jenny Fax)」は一番自分の殻を破りにくい‘普通’のコが、その勇気を後押し出来るような服を提案してくれている。自分自身を表現することは、簡単なようで一番難しいことだと私は思う。自分自身のことなのに自分が一番自分のことを理解していない。私は、自分を知るきっかけの一つに洋服があってもいいと思う。自分の感性や好みに従っていく内に、自分を知り‘特別’なコに孵っていくのではないだろうか。



text/ 小松未奈
photo/ 櫻田美羽