Fashion, Collection, Tokyo 2018 S/S

MIKIO SAKABE 2018S/S Collection


2018年春夏の東コレ、トリを飾ったのはMIKIO SAKABE(ミキオサカベ)。客層が何と言っても派手…会場は満員の人で埋め尽くされ、ショーが始まる前からヒカリエホールは期待と熱気に包まれていた。


 今回のテーマは「ミックス」。と言っても混ぜるアイテムはこれまた様々。ブリーチした日本髪、OLにスクールバッグ、ぽっくりから形どった厚底ブーツに和柄のデザインなど、時代、着用シーン、素材を混ぜた。

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 「どうしても本物の和には負けてしまう。」坂部氏はそんなことを言っていた。一つのファッションとして成立している着物をどうアレンジするかということは、デザイナーにとってものすごい大変なことのようだ。そこで今季、坂部氏が挑戦したのがこのようなミックススタイルであった。全く異なるものを混ぜ方を工夫し繋ぎ合わせることで新進気鋭なスタイルを作り出した。

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 ところで今回、坂部氏が取り入れた「日本古来の文化」と「カワイイ文化」というちぐはぐな要素。その二つの組み合わせを見て私は新たな発見をした。それは、日本の服飾文化は海外からのグローバルな視点によって生かされているということだ。日本のメインカルチャーとも言われる着物はもはや今普段着として着られることは滅多になく、サブカルチャーの方が「ジャパニーズカルチャー」的な見方をされることが増えている。ところが、パリでのコスプレ大会に顕著なように元から風土性のないサブカルチャーはあらゆるところで複製されている現状にある。そう言った中、今日改めて認められてきているのが、「和」のように他の地域では交換の効かない「日本古来の文化」である。この再帰的な視点がローカルな価値への新たなまなざしを生んだのだろう。そう言った意味で考えてみると、日本髪にスクールバッグという組み合わせはより一層興味深いデザインに思えてくる。「カワイイファッション」に満足した女の子はいつかぽっくりを履きだすかもしれないし、着物を普段着にするかもしれない。そんなことを考えていたら未来にワクワクした。今回のミキオサカベのコレクションは先駆的なブランドらしく、未来の日本の服飾文化を見越したものだったのかもしれない。


text / 須藤志央里
photo / angie


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