D-VECの2017A/Wのインスタレーションが、キャットストリートにて発表された。
春休みの時期ということもあり、たくさんのオーディエンスはなにが始まるのだろう、とイベントを心待ちにしているようであった。
釣り用品のDAIWAが、デイリーユースのアパレルブランドとして新しく立ち上げたD-VECは、技術力はさることながらとても洗練されており都会的な魅力でオーディエンスを魅了した。『五感を通して、すべてのシーンを瞬間に感じとる』というブランドの意向から、今回は野外でのショーであったのだろう。
しかしながらショー会場ではないパブリックな場所でのショーには、普段ファッションショーと馴染みのないたくさんの人が見るきっかけになり、ファッションをより身近なものとして考えてもらえるという利点があることに対し、騒音などの問題も発生してくる。今回、原宿・表参道エリアの若者カルチャーを発信するキャットストリートでのショーであったのにも関わらず、大音量のBGMによって近隣住人が怒鳴り込んできたのだ。ここから私は日本におけるファッションショーへの理解の軽薄さを痛感した。もしこれが野球のパレードだったら、きっと同じ音量でも常識はずれだ、なんて言われることはなく理解を示してくれるだろう。
ミラノではタクシー運転手もコレクションの話をし、パリでは飲食店のテレビに前日に行われた最新のコレクションの映像が流れている。東京もいつか、ファッションがより身近なものになり、より多くの人がファッションショーへの理解を示してくれる街になることを期待したい。
Text/諏訪ふみ
Photo/加藤華椰