DRESSEDUNDRESSEDが示す現代の社会情勢とは
2017年3月20日、渋谷ヒカリエホールAにて、DRESSEDUNDRESSED (ドレスドアンドレスド）2017-18年秋冬コレクションが発表された。東京コレクション常連のDRESSEDUNDRESSED。まず初めに登場したのは、黒のフルフェイスマスクを被ったメンズのルックだ。SNSによってプライバシーがさらけ出される現代社会、ファーストルックのフルフェイスマスクは、そのすべてを遮断し隠したいという意が込められている。
そう、今季のDRESSEDUNDRESSEDには、具体的なテーマは設けられていないものの、現代の社会情勢、特にSNS社会の中に生じる、つながりたいという気持ち、またそれに伴う孤独感などを中心に服に反映させたコレクションだ。DRESSEDUNDRESSEDのここ最近のコレクションといえばかなりのオーバーサイズに、これまたかなりの長さのロングスリーブが印象的だったが、今回のコレクションの中にはそこから袖をスパッと切ったすっきりとした印象のものも見られた。その変化には、人間が感情を表すツールとして一番大切な手を使って大切な人を守りたい、つながりたいといった気持ちが隠されている。
さらに今回は、今まで離して考えていたメンズとレディースのルックを寄せたという。それに関しては特段意識したわけではなく今までは多くのブランドでも1つのメインテーマとして扱われていたジェンダーレスが今ではもう当たり前のことになったのであろう。
また、北澤氏は、「みんなのおかげで今のブランドを続けることができるし、生かされている。」と、ブランドを続けていくことをとても大切にしていると語ってくれた。
今回の囲み取材を通して感じたことがある。それは、DRESSEDUNDRESSEDというブランドは、現代に生きる私たちの、敏感で弱い普段表には出したくない内面を一番表しているブランドではないかということだ。クリエイティブなファッションデザイナーというと、偏見ではあるが、やはり根本的な感性から我々とは何か違うのではないか。と考えがちだが、彼ら（北澤氏、佐藤氏）は、社会情勢や精神面に関して、我々と近い感じ方、受け取り方をしているのではないだろうか。そのうえで、我々が抱える消化しきれない感情や、伝えたいけれどうまく伝えられない日常にあふれる”それ”を、私たちより器用な彼らがDRESSEDUNDRESSEDの服として形にして表してくれているのではないだろうか。
Text/濱崎真実
Photo/鈴木優人
