ふとした事に「気づき、感じる」ということ
東京コレクション初日となる3月20日、5-knot…..のショーがトップバッターとして、渋谷ヒカリエにて行われた。
東京コレクションは初参加のブランドである。今回のテーマはデザイナーが訪れたというモロッコの宿で毎朝出されていたザクロの実から発想を得たという。そのため、今回のルックは赤を基調としながらマスタードイエローなど秋をイメージさせる色が多く用いられた。
トップスは全体的に袖が長めで身幅もゆったりとしており、歩くたびにひらひらと揺れる深くスリットの入ったスカートと相まって、とてもルーズでリラクシーな印象を受けた。ここからは旅先であるモロッコでのゆったりと流れる時間を連想させる。
モロッコ旅行からインスピレーションを受けた今回のコレクション。そこから、ファッションと生活というものは密接に関係しているという事に改めて気付かされた。私たちの生活の身の回りには、ファッションに応用できるモノが溢れている。例えば、飲料水のペットボトルのラベルや、タバコの箱など商品のパッケージなどを良く見てみると、カラーリングなどとても緻密に計算されて成り立っている事が分かる。色というのは、普段あまり意識しなくてもとても身近なものであり、影響力があるものなのではないだろうか。しかし、いつの間にか、『当たり前』の光景に慣れてしまい、新鮮さを感じる機会が減ってしまっていると感じる。 しかし「気づき、感じる」という事を忘れてしまったらいつまでたっても魅力を持った人になることが出来ないのではないか。
ファッションに限らず自分の身の回りに溢れている、どんな事にでも刺激を受ける貪欲な姿勢が人間としてあるべき姿ではないかと思う。今回のショーからは、そんな自分たちがいつの間にか忘れてしまったふとした事に「気づき、感じる」という事の大切さを強く実感させられた。
Text/ 石井達也
Photo/ 加藤華耶
