オーストリア発6ブランドの最新コレクションとアート作品を展示。
企画テーマは”Image Politics”＝“イメージ戦略”。
渋谷 A-ギャラリーにて、PREFACE: Image Politics in Fashion and Artsのインスタレーションが行われた。渋谷の僻地に構えたショールーム、スタート時刻5分前になってもインスタレーションの構成が未確定であるという、自由奔放さ。
結局会場の入り口ドア付近、半野外で進行されたインスタレーション。最終的にはモデルたちはお茶目なポーズを決めたり、在廊するアーティストらも集まって座り込み、まるで家族写真を撮影しているような絵に。とても開放的で、終始ほっこりとした雰囲気に包まれた。
一方、展示会と展示されている服や作品の数々には真摯なストーリーが込められていた。計11名の企画参加者たちそれぞれが、イメージが現実となりうる今の世の中で、何が嘘で何が真実なのか、いわゆるメディアリテラシー的問いかけを服とアートで表現している。取材陣に向けて「皆さんは私たちの仲間であり友達、デザイナーやアーティストと同じように、メディアも情報を発信しながらイメージを作り決定していく」と強調する眼差しは力強い。
それぞれが国際的、政治的問題などを扱いながら「イメージを作ること＝作品、服を作ること、それを展示などで発信していくこと」は世界を変える力を持つと信じ活動に取り組む彼らを見て、今こうして東京コレクションのレポート記事を書きながら、私自身、学生が構成するファッションメディアとしての在り方を考えた。私たちはどんな現実を求めて、どんなイメージを作っていくべきだろう。ファッションを文化のテーマの1つとして捉えたオーストリアの新風に、仲間の一員として、改めて考えさせられた。
Text/上田早織
Photo/田近咲菜
