今回からUjohは「ジャポニズム」も意識。最近話題の「ジャポニズム」とは?
2016年10月17日、ヒカリエホールAにて、デザイナー西崎暢によるUjoh(ウジョー)2017年春夏コレクションが発表された。
会場内の雰囲気は黒で統一されており、客席の後ろには無骨にパイプで骨組みが組まれており、4本のランウェイ上をモデルたちが颯爽と歩いた。
デザイナーの西崎氏は、昨年から海外での発表などが増えたことを機に、国をまたいでブランドの魅力・女性感といったものを、国内外で勝負するということを今回のコレクションでは考えたという。これまで、ブランドにおける魅力や女性感というのは、マニッシュさとフェミニンさのバランスとしていたが、今回は少し考え直したそうだ。成熟した女性の潔さや、パワフルさ。その時々に着こなしている女性次第で変わり、着ている人の思いを引き立てることを考えて作り始めたという。例えば、ビッグシルエットのものを肩ひもでサイズ調整ができたり、サテンをドロップホールでくしゃっとさせたりと、着る人が遊べる服になっている。
また今回のコレクションについて、これまでブランド持ち前のテイラーやレイヤードが多かったが、花柄や、フレッシュなレイヤードにチャレンジし、取り入れることによって表現の幅を広げたかったと語る。また、今回初めて登場した着物を連想させるようなジャポニズムを意識したディティールのものも次回からも取り入れていきたいという。
『ジャポニズム』というワードについて、最近の日本のファッション業界で注目されている言葉であるが、具体的にはどのようなものであるのだろうか。コレクションでみられる『ジャポニズム』と呼ばれるものの多くは、YOSHIKIMONOのような着物の形状を意識して作られた服や、実際に反物を使用して作られた服などがよく見られる。また、CHRISTIAN DADAなどでみる桜など日本を強く感じられるものの刺繍、コレクションには特攻服のようなものも登場し、最近では春画などの刺繍も多く見られる。これらを踏まえると、基本的には洋服に和を取り入れることが『ジャポニズム』なのかもしれないが、一日本人としてはそういった表面的なことに限らず、奥ゆかしさやヲタク気質、恥の文化など内面的な日本人らしさを衣服といった表面的なものに置き換えて表現することも、日本のファッション業界における『ジャポニズム』をさらに面白くするのではないかと感じた。
最後に西崎氏は、今回のコレクションでの新しい挑戦やスタイルなどをふまえてこれからのUjohついて問われると、「変わらないスタイルもあるが、ブランドのこれからを決めるには若すぎる。」と語った。これまでのUjohが、西崎氏の表現豊かな新しい挑戦とともに、どのよううに成長していくのか目が離せない。
Text/浜崎 真実
Photo/瀬戸 真子