フィルムフォトグラファー shinichiさん INTERVIEW -

写真を加工するのは苦手。ありのままの写真が自分らしい。

Instagramでとても興味深いフィルムフォトグラファーを見つけた。
ありきたりな日常写真にもどこかアートを感じる写真を撮っている彼は、どんな人なのだろう。

—-フィルムカメラを始めた理由、きっかけは何ですか。
元々ジャンルを問わず作品を作りたいという思いから、グラフィック系の専門学校に通っていました。その当時、作品を作るときにデジタルカメラを使っていたんです。
自分は文字と写真で構成する作品しか作れず、写真に加工を加えて格好良くしたりっていうのが好きじゃなかったので、良い写真をとって良い文章を書こうというスタンスでやっていました。例えば音楽系のチラシ作ってと言われても、写真に加工を施すなどアートスティックとかには出来なかったんです。撮ったままの写真を使いたかったんです。デジタルカメラだと編集しないと風味が出ない、それがすごく嫌だったから、それがきっかけでフィルムカメラに興味を持ちました。フィルムカメラはカメラとレンズとフィルムの段階で色を調節でき、自分好みに出来る。これは面白いなと思いました。パソコンを使わなくても撮る前の段階で自分の好きな色味に調節出来るということが決め手でしたね。

—-写真を取るときに心がけていること（コンセプト等）はありますか。
フィルムカメラを初めてまだ半年ほどなので、今はまだ色々実験中の段階です。
自分は一回写真を撮る時に何かしらテーマを決めています。たとえば最近よくやっているのは、街に出てみて良いなと思った人に声かけて、場所も移動させないでその場で写真を撮ります。スナップ的な感じです。その場で取ることで何か生まれるのではないかと思っています。毎回何かしらのテーマは決めていますね。

—-フィルムカメラはデジタルカメラに比べて怖さはないですか。
自分って優柔不断なんです（笑）学生時代グラフィックデザインをやっていた時もデザインがなかなか決まらない時があったんです。だから、デジタルカメラだと枚数を気にせず写真が撮れるので、撮った写真を後々選ぶのに時間がかかってしまうんです。フィルムカメラはテストみたいな感覚です。撮る日の前日に写真の撮り方やイメージを膨らませておきます。テスト前の徹夜みたいな感じですね。次の日写真を撮り終わったらテスト終了みたいな感じです。事前に考えては行きますが、現場から生まれるものもあるのでとても頭は使いますね。

—-普段は人、風景どちらを撮ることが多いですか。
最近は人を撮ることが多いですが、人も風景もどちらの写真を撮ることも好きです。
好きなものだけを撮っても、写真を見る人がいて成立するのでそれを上手く織り交ぜたいと思っています。人か風景どちらか一方だけ撮っても見る人は飽きてしまうと思うんです。

—-shinichiさんの写真は「色」をとても大切にしているように思えます。
赤とかは映えますよね。原色は好きです。
色でこだわるのは着ている服、背景もそうですし、写真自体の色が薄いよりは濃いほうが好きですね。レンズもフィルムも濃い色にものを使っています。

—-ここ最近行った作品撮りについて教えて下さい。
絵とか描くときに昔遊びでやっていたのは音楽を聞いてそれのイメージしたものを絵に書くということをしていました。それを写真でも出来ないかなって思ったんです。僕自身「人間失格」の小説が好きなのですが、この小説を読んでその中でこれを上手くファッション写真に出来ないかなと思ったんです。額縁は人間失格の主人公が最初に自画像を描くシーンをイメージしました。人間失格の主人公と友人fan君の人間性が似ていたのでこれは使おうと思いました。そうしたら面白いかなと思いました。

photo/shinichi

—-写真を通して伝えたいことはありますか。
伝えたいことはその時その時で変わってくると思います。今は、フィルムカメラを始めたばかりで見えない部分も多いですが、ゆくゆくは出来たら自分の感情とかを中に落とし込めればなと思っています。結局見る人によって捉え方って変わってくると思うので、見てくれた人が各々に感じることを自分自身が解釈していければなと。映画と同じで、これ何なのみたいなのあるじゃないですか。ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかみたいな。そういう感じで解釈してもらえばなと思います。

—-最後に今後の展望について聞かせてください。
今後はファッションカメラマンを目指して引き続き活動を行っていきます。
スタジオなどにも入ろうと思っています。また、最近知り合ったデザイナーやスタイリトと共にZINEの発行などをして自分たちのものを発信できたらなと思っています。