お店とショーの連動、ショーで見た物がリアルタイムで買えるようにしていきたい。
表参道ヒルズで行われた今回は、ミリタリーとワークウェアを多く取り込み洗練された男臭さを表現していた。2015awのセクシーなドレスラインのコレクションとは異なり、テーマの「アンチテーゼ」の通り対照的な内容になっている。MA-1やミリタリーコート、ニードルパンチを用いたコートはツイードとレザーを重ね合わせ、シームを見せないようにすることでグラデーションのように表現することが可能に。
小村氏は「お店とショーの連動、ショーで見た物がリアルタイムで買えるようにしていきたい。」と語る。ショーの世界観がより関係者以外の消費者に近いものになり、ショーをやる意味の拡大につながる。だが、ショップやブランド側からすると厳しい面は多そうだ。生産スピードの要求やクオリティーを維持できるか、生産・販売はそのスピードについていくことが出来るのか。まだまだ課題が多いであろうが、ショーなあり方を変えるひとつの分岐点を生み出すかもしれない。
小村氏が2015-16 A/W のようなセクシーなドレスラインを作りながらも、自分の中にドレスラインに対するアンチテーゼがあったのかもしれない。それゆえ、全く対照的といってもいいミリタリーを使ってテーマを表現したのだろう。ジェンダーレスなどの考え方がファッションに入ってきている今だからこそ、男臭さからダンディズムを表現していくことにも意味があるのではないだろうか。
text/Yoshimitsu Yoshioka
photo/Chihino Okada