ジェンダーレスの真意?
2016年3月18日、ヒカリエホールAにてOnitsuka Tiger×ANDREA POMPILIO(オニツカタイガー×アンドレア ポンピリオ)2016年秋冬コレクションが発表された。
「UNEXPECTED」をコンセプトに異なる様々な要素を調和させたコレクションだ。90sが強く意識されており、90sのニューヨークとイングランド、90sのエレガントで洗練されたリラックススタイル、90sのクラッシックなファッション、そしてデザイナーアンドレアがファッション業界に足を踏み入れたのも90sであり、90年代が今回のコレクションの大きな要素となっている。そしてその時代のラグジュアリーさ、豊かさも今回の服には反映させたとアンドレアは語る。
会場に入った瞬間、我々の目に飛び込んできたのは、正面右側にセットされたドラムセットと、大きく波のようにうねったランウェイである。そのエキセントリックな会場の様に、今から私たちの眼前でどのようなショーが繰り広げられるのかと、多くの来場者が期待に胸を膨らませてショーの開始を待っていたことだろう。
そして会場内が暗転し、ドラムが鳴り響きショーはスタート。最初に登場したのは黒のロングドレスにロングのマフラーが特徴的なレディースのルック。続いてもマフラーが特徴的なメンズのルックが登場し、ストリートウェアの中にどこか気品を感じさせるブリティッシュスタイルに身を包んだモデルたちが次々と登場した。中でもエナメル素材が、バックやアウターなどに特徴的に使われており、コレクションの中でも存在感を示した。そして最後にはシースルーのトップスが特徴的なロングドレスがラストを飾った。
今回のスタイリングについてアンドレアはバランス、プロポーションにこだわったという。90年代はタータンチェックや、ランウェイに登場したようなロング丈のマフラーなどが取り入れられ、レディースがメンズ服を着始めた時代でもあるので今回のスタイリングにも取り入れたという。そこには昨今叫ばれているジェンダーレスに通ずるものがあるのではないかと感じた。
最近の日本のファッション業界では、弱々しく男らしさを削った女の子のような男性読者モデルたちをジェンダーレスの代表として指すことが多いが、ジェンダーレスの真意には、同性婚などの一般化や男女平等を訴えるフェミニストたちの存在があるのではないだろうか。そういった背景のもと、女性がマスキュリンな格好をファッションにとりいれ、男性もレディースライクなファッションを楽しむということなのではないだろうか。
text/Mami Hamazaki
photo/angie