Fashion, Collection, Tokyo 2016-17 A/W

TOKYO NEWAGE 2016-17AW Collection

完璧でない何かを求めながら



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坂部 三樹朗(MIKIO SAKABE)と山縣 良和(written after wards)がプロデュースする若手のデザイナーを集めたプロジェクト「TOKYO NEWAGE」 2016 A/Wコレクションが、3月18日、渋谷ヒカリエホールAにて発表された。
今回のコレクションでは、LVMHアワード候補者 セミファイナリストまで進んだSOSHI OTUKIを始め、kotoha yoshizawaKEISUKE YOSHIDARYOTA MURAKAMIAKIKO AOKIの5ブランドが参加した。

SoshiOtsuki(ソウシオオツキ)/大月 壮士


先日、デビューコレクションがLVMH prize for GraduateにノミネートされたSOUSHI OTSUKI。フラワーアーティストの小春丸と共同で行った今回のコレクション。前会同様、SOUSHI OTSUKI独自のテーラリングと武骨なデザインの効いた装い。大月氏はインタビューにて、「小春丸さんのアートは、日本的でトラディショナルな部分に対して、アバンギャルドで柔軟なデザインに表現することもできる所に惹かれてコラボしたいと思った。」と答えてくれた。SOUSHI OTSUKIのクラシックな雰囲気に、小春丸のデザインが程よいバランスを取りながらも美しく咲いていた。

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kotohayokozawa(コトハヨコザワ)/横澤 琴葉


このルックでは横沢氏自身「私の祖母が呉服店を経営しておりまして、その時に周りにあった服のインスピレーションが強い」と、話してくれた。祖母の服を見てインスパイアを受けたとは思えないぐらい刺激的で情欲を催すルックである印象を受けるのは、レザー生地、タイトなシルエット、ミニスカートなどのアイテムのインパクトであろう。一方で、花柄や、足袋、編み込みの粗いストールなど昔ながらの服の良さ、素材を大事にするというメッセージ性をも感じさせる。「なんでもない日々に収まりきらなかったこと」をコンセプトとしているkotoha yokozawa。そこからはみ出たものと昔ながらのもの。それを、彼女なりのニュアンスで女性的に仕上げたルックではなかっただろうか。

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KEISUKEYOSHIDA(ケイスケヨシダ)/吉田 圭佑

NirvanaのアルバムNever mind に収録されているstay awayが流れショーがスタートした。今回のルックでは、前回の根暗な10代の少年少女のイメージから、スケボー、ロック、異性等色んなカルチャーや刺激と出会う事であか抜けていく様子をショーで象徴していた。彼のコレクションでは、各アイテム毎でトレンドを追ったアーバンな服を使っているが、彼の作品として合わせた瞬間にとても土臭いスタイリングで、少年少女たちの青臭さが巧妙に表現されていた。フィナーレでt.a.t.uの「all the things she said」が流れるなど、思春期の自分の世界に入り込み、世の中に対して何か反発しているような選曲がショーの中で純粋な少年らしさというよりも「中二病的」な 様子を醸し出していた。
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RYOTAMURAKAMI(リョータムラカミ)/村上 亮太・村上 千明

今回のコレクションでは、「町外れのブティック」をテーマにコレクションを行った。トレンドが遅れてやってくる町外れで、母親の作る絵だったり服だったりというものを自分なりにアートに昇華して作ったルックだという。ファーストルックの女性の方はブティックのオーナーで、そのオーナーがショーを行っているという物語がある。日本、中国、ヨーロッパ等多国籍の文様が施されたドレスが特徴的であり、パッチワークやぬいぐるみ、レースの被りなどでの自家製感が日常の何気ない佇まいを見せていた。会場は終始和やかなムードに包まれていた。
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AKIKOAOKI(アキコアオキ)/青木 明子


今回は「なにかを諦めた女性」物憂げなテーマのコレクションであった。1920年代の女性の戦時の様子から感応を受け、ルック中に登場する軍服は兵の傷を施す看護師を表しているという。青木氏は「思想的にも、何かを求めるじゃなく、諦め全てを許容する。そういう考えで作りました。」と、答えてくれた。ルックではチェック柄のアイテムや肌の露出の多い服装が目立つなど「諦める」という言葉とは変わって、アグレッシブなメッセージが取れる。戦時中という比較的身を守ったり、隠す風潮のなか、すべてを覚悟し脆弱な中光り輝く女性の強さを垣間見ることができた。

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TOKYO NEWAGEで、どのブランドもそれぞれのテーマの中、完璧でない何かを求めながらもアイテム一つ一つのディティールや完成度はとても高度なものであった。駆け出しで今自分に何ができるか、どんなメッセージを伝えようかという思いが強かったのではないだろうか。KEISUKE YOSHIDAのルックでは、カルチャーと関連付けたルックが多く見られるなど、それぞれのバックヤードに対して強い気持ちを垣間見ることができた。




text/ Yu Ezaki
photo/ Chihino Okada