ファッションとヒーロー、プロレスが融合した総合エンターテイメント
3月18日、渋谷のタワーレコード屋上 SKYGARDENにてユキヒーロープロレスのコレクションが発表された。今回は有名なタワーレコードのキャッチコピー“NO MUSIC NO LIFE”と掛け合わせて、“NO ENTRANCE MUSIC NO PRO-WRESTING(格好悪い入場曲はプロレスではない)”をテーマにしてコレクションを展開した。
ランウェイの横でDJの流す生音楽とともにショーはスタート。まず登場したのはレスラーの柄が描かれたシャツルック。そのツヤや光沢感はボクシングなどで選手が履いているパンツのよう。コレクションの中で多く見られるミリタリーなアイテムたちは、ヒーローらしく戦いを連想させる。中盤に見た何本もの白いラインが交差する柄は、まるでプロレスのリンク。色や柄であったり、素材であったり、いつもどこかにプロレスやヒーローを感じる。
また、バックに“NO MUSIC NO LIFE”と黄色地に赤い文字で書かれたジャケットが見られたのは、タワーレコードとコラボレーションした今回ならではであろう。暗闇で光る服というのは他のブランドでも見ることがあるが、終盤に登場した、動作により光る服はなかなか見かけない。プロレス技・エルボーをすると光る服は、プロレスをファッションと融合させたユキヒーローでしか見ることができないルックであった。
最後には本物のプロレスラーが登場し、モデルの女性を肩に担ぐ。レスリングの醍醐味である力強い格好良さが披露された。ファッションとヒーロー、プロレスはもちろんのこと、音楽、ユーモアの融合した総合エンターテイメントだったと今回のショーは言えるだろう。
コレクションのフィナーレで現れたデザイナーの手島幸弘は、てるてる坊主を大きく掲げて観客に挨拶。彼のお茶目さとともに、ショーのために万全の準備をしてきたことが伺えた。ショー後のインタビューで手嶋氏は、「服を作っていくのが夢であって、東京コレクションに出るのが夢ではなかった。しかし出てみると緊張したし楽しかった。今回ショーを行ったことで次に向けてやらなきゃいけないことも見えてきたので頑張りたい。」と語ってくれた。
デザイナー 手嶋幸弘
『誰かのヒーローになれる服』をコンセプトとし、2012年にスタイリストとして独立したと同時に幼少のころより憧れた“ヒーロー”と“プロレス”をモチーフとしたブランド『ユキヒーロープロレス』をスタート。映画や舞台、アイドル、プロレスラーの衣装、CDジャケットデザインを手掛けるほか、円谷プロダクション、タワーレコードとの企業コラボレーションも行う。2012年と2015年にはTOKYO新人デザイナーファッション大賞プロ部門に選出される。2015年度より国内外での取り扱いもスタート。
text/Akane Sato
photo/Hiroshi Nagayama