RYOTA SHIGA デザイナー 志賀氏にインタビュー。
RYOTA SHIGA / 志賀 3/3
「Brand Concept」
「未来永続的に継続する一人、一人の幸福の為の行動。」
「2011-12 A/W コレクション / めびうすのわ」
人は自然の神秘を美しいと感じ、愛、平和を願うのは男性、女性、100年前の過去も、現在も、そして100年後の未来も変わらず、無限大に継続していくとおもい
永遠に続く未来。
それはメビウスの輪のように直線を180度ひねり糊付けすれば、無限大の記号「∞」に酷似する。
直線が曲線に変化し、永遠に続するメビウスの輪の形をインスピレーションとしたコレクション。
■「∞」は具体的にコンセプトと関連している部分はあるのですか?
今回のコレクションに関しても、それが始めになって、日本の本屋でも自己啓発系の本が多いと感じていて、自己啓発が取り上げられるとはなんだろうと考えると、みんなが内に向いているということだと思います。自分の内面を鍛えるというか、そういう部分がピックアップされているというのが一つと、どこにいてもいろいろな暮らしをしていてもみんなが平和に思ったり、人を愛したりという気持ち自体はずっと変わらないのではないかというのがあり、そしたらメビウスの輪は永遠に続いていくというのがピッタリはまってきたので、そこにカッティングの面で、直線で構成している服でしたが、それがだんだん曲線に時代が向いているなと自分が感じてきたので、今回のコレクションは直線が曲線に変化するという部分で、直線のカッティングのものと曲線とまじり合っている形で、ディテールでメビウスの輪の永続的に続く形をとりいれています。ファーはナチュラル志向という部分で、ナチュラルな素材、レザー、毛皮をピックアップして使用しました。シルバーフォックスには直線の毛並みでそれに柔らかい曲線のカッティングを入れたりすることで直線と曲線を混じらせたり、あとはカールしている毛も多く、それが曲線というのでドレープ感の曲線をミックスして曲線と曲線のつながりすべてが周っていることを表現しました。
■次のS/Sにむけてなにか考えていることなどはありますか?
今、ある程度デザインやイメージが固まっていて、A/Wからの続きという形を考えていて、自分が1シーズンごとにテーマを変えてしまうのがどうなのかなというのがあり、なるべく一年で1つのテーマで迎えたいっていうのがあり、同じテーマで素材も同じものを使ってこれを加工しなおし、違うものを提案するという形で行おうと考えています。
■尊敬する人を3人挙げるとしたら誰ですか?
母、ジェームス・スキナー、キャロル・クリスチャン・ポエル
母は私のベースで、私を作ってくれたのは母の教育のおかげで、母から影響を受けています。母は看護師なのですが、今回の地震で感じたのは、状況がどうなるかわからない中で、私が12日に原発が危ないということを知り、家族に避難するよう説得しましたが、母は拒否して、部下がいるし、入院している人もいるので、「私は危ないかもしれないけど残って仕事をやっていく」と言われました。弟はその時ボロボロ泣き、私も半泣き状態でしたが、その時の意思の強さ・仕事に対する情熱など精神的な部分ですごく尊敬できます。
ジェームス・スキナーは自分の哲学のベースになっています。
私は個人で行っていますが、デザインだけでなく、経営の面でもちゃんとしようと考えていて、どうやって収益を上げるのか、どうやって儲けてそのお金を人の幸福感にかえるかなど。しかし、私が精神的なベースができてないと何をやっていてもダメなので、彼の本を読んだりして、常に私が何か行動や発言する時の考えのベースになっています。
キャロル・クリスチャン・ポエルはデザインが好きという部分もあるし、PRを全くせず、日本でも一つのお店に頼まれて置かせてあげていることやブラットピットが直接キャロルの事務所に電話をかけてきて、「ジャケットを撮影で使いたいから貸してくれ」と電話したらしいのですが、「うちはそういうのは、やってないからアメリカなら何々っていうお店で扱ってるからそこで買ってくれ」といって電話を切っちゃったらしいのです(笑)。そういうのを絶対やらない意思の強さや展示会も写真一切ダメみたいなスタンスがすごいです。そういう姿勢で経営ができて、世界中にファンがいて、本当にすごいことをやっているブランドだと思います。
■ファストファッションが流行っている中で日本のコレクションブランドの存在している価値はなんだと思いますか?
私は量産をしていますが、大量生産ではなく、一人ひとりの幸福に届く範囲で特別なものを提案していて、そこを考えるとファストファッションでは、なかなか難しいのではないかと思います。もちろんファストファッションはすごいデザインもあり、あり得ないのがブランドのコレクションをやった二週間後にそのブランドの服を真似た服が並んでいるという情報の早さと労働力です。しかし、海外で安く作り、大量に売り、大量に利益を得ています。儲けるということだけを考えるのはどうか?と思います。確かにたくさん服が売れ向こうの人たちも労働賃金が高くなっている部分はあると思いますし、いろいろな服を安く着られるし、それがまた、かっこいいスタイルだとは思います。モノの価値だとかネットで試着せずに買ってしまうということもあります。けれども、私個人では、服はそのように扱われるべきではないと思うのです。詳しく言えば、試着し、会話し、接客され、様々なことを学びながら購入するものだと思っています。服作ることは大量に生産するのとその他の様々な形態に分かれていると考えていて、私は後者です。その一方、実際にファストファッションは売れているので、売れているということはかっこいいのだなと思います。そして、若い人が自分の好きなもの中で様々な服を着られるというのが時代に合っていますし、ファストファッションを完全否定できません。だからこそ、ファストファッションが流行っている中で、コレクションブランドが存在するという意味をもっと明確に作っていかなくてはいけないという部分があると思います。
■RYOTA SHIGAの将来の展望は何ですか?
最初に日本の良さ、技術、文化をファッションを通し、伝えたいです。これは海外に住んでいる時にすごく感じたことで、生地や縫製にも素晴らしいものがあるので、さらに昔の日本の独自の文化をもっとよく学び、日本人にしか作れないものを作って世界に売ってきたいというのが私の目標です。また、それをやりながらも若い人を育てていきたいです。ヨーロッパで手本にしたいと思ったことが実際に一線で活動している方が学校に来て指導しているから、何がいいか悪いかっていうのがわかるし、全く違うことを言われてもすごく説得力があります。しかし、日本ではなかなかそのような環境がなく、先生は学校に座っている先生なので、新聞や雑誌の情報だけでなかなか現場のコミュニケーションとつながらないのではないかという思いがあり、私はそこを変えたいと思っています。だからこそ私が成長したら、講師として一緒に若い人と日本というものを盛り上げていきたいです。
最後に、自身の創る洋服でも人に勇気や幸せになってもらえる方法を明確に考え、実行に移して行きたいと思います。
RYOTA SHIGA
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