Fashion

hatra / 長見



hatra デザイナー 長見氏にインタビュー。 


hatra / 長見 


「Brand Concept」

ネットを通して生まれてきた
新しい環境(ストリート)を背景に、
「部屋」をテーマに現代の生活に最適化された
居心地のよい服を作っていきます。



■長見さんは、「カオスラウンジ」などで、アーティストとしても活動されていますが、なぜファッションデザイナーという道に進むことになったのですか?


2010年4月に帰国して、FAKEで勤めていた友人に卒業制作の服数点を預けていたら、Sisterから連絡があったのがデザイナーのはじまりです。それより前までは明確に自前のレーベルを起こそうとは考えていませんでした。


■「hatra」という名前の由来はなんですか?


留学中に出会った女の子の名前です。Sisterに服を出すにあたって名前を決めないとということで、語感だけつよく印象に残っていたハトラになりました。


■ネットを通して生まれた新しい環境を背景に「部屋」をテーマに現代の生活に最適化した服をコンセプトに掲げていますが、なぜ「部屋」をテーマにされたのですが、またその意図はなんですか?


狭い場所がすきで、トイレとかお風呂とか、布団とか、屋根裏とか、手を伸ばせば全部が把握できて、誰からも干渉されないような場所に昔から愛着を持っていました。その居心地の良さをそのまま外に持ち出したい、という願望がこのテーマの根底にあると思います。現代の生活はネット中心の生活ですね。だれもいない小さな部屋でディスプレイに向かっている体験の質が10年前とは違います。
着てくれる人の為に、より個人的な部屋をつくってあげれば、よりクリアに世界と接続させられると思います。



■服のディテールなど色づかいなどはどのような発想・観点・モチーフから生まれてくるのですか?


今シーズンの話だと、杢グレーのスウェットのエレガンスを充分に活かせることを中心に考えていました。スウェットはもともとカジュアルな素材として扱
われがちですが、厚み、ハリ、耐シワ、など服地として完成度の高い布です。今回はその考えを中心に色、素材を組み合わせています。テキスタイルグラフィックでお世話になっている埋名さんの作風からの影響も大きいです。


■尊敬する方とその理由をお聞かせください。


エスモードパリで2年間指導いただいた、谷脇かなえさんです。クチュールの世界でカルダンの時代からモデリストとして活躍されていて、授業の内外で伝統的な美意識を叩き込まれました。ちょっと他に並べられないほど、お世話になりました。



■難しいご質問ですが、長見さんにとってファッション・デザイン・服というのは
どのようなものでしょうか?


僕にとって服は自己紹介の代わり。デザインはその単語ひとつひとつの選び方
ファッションは価値観を古めかせる仕組みですかね…


■今後の展望をお聞かせください。


スニーカーが作れるようになりたいです。


■地震の影響が様々な部分で影響していると思いますが、経済的な側面以外に何か影響している部分はどこにあると感じますか?


ファッション業界がうけた影響については、各媒体でとりあげられていると思うので、僕から言えることはありません。ごく個人的な心境ですが、震災後、3次元の「場所」がより不安定になり、地域に対する個人のアイデンティティの揺らぎを以前よりつよく感じるようになりました。場所そのものの力は位置的にはより局所的に、情報的にはより広く薄く波及する流れが加速したように思います。



■海外とは違い、日本はファストが流行していますが、今後この流れがどのような方向へと流れていくとお考えですか?


gapもzaraも、ジャスコもしまむらもファストなら、構図は以前と大きく変わっていないんじゃないでしょうか。ファストファッションはモードが濾過されて流れつくある種の着地点で、その質の底上げが進んできている今は服飾文化の健全な進化を辿っていると思います。また、ユニクロのパリオペラ店がオープンした際に1000人近く入場待ちの列ができました。あの時は1週間たっても並ばずに店舗に入るのは難しかったです。パリ中でユニクロの紙袋を目にするほどでした。でもそれは業態そのものが目新しかったからではないですよね。日本でも2年前あたりから海外メーカーの本格参入を期に大々的にプロモーションされてはいましたが、それに合わせて単語や括りが持ち上げられていただけで、消費の構図そのものは日本も海外も以前と大きく変わっていないと思います。他方で、ウェブ、アクセサリー、ライフスタイルなどを絡めた、単純なロゴビジネスとは違う、総合的ブランドづくりができるメゾンが求められると思います。


■海外では、コレクションウィークは、国をあげての一大イベントですが、日本では、業界内にとどまり、デザイナーズブランドの民主化は進まず、浸透していな
いと感じますが、これからデザイナーには何が求められると感じますか?


あまりそう思わないです。一般化という点では、明らかに日本のコレクションシーンのほうが間口が広いはずです。一方国外へのプロモーション、認知度では遅れをとっている印象です。そういった意味ではウェブ面でのあらゆるプレゼンテーションはもっと意識されるべきですね。現在の東京では本当に多様なデザイナーのあり方が出現しているので、細かくみていくと求められるものは当然違ってくると思います。





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hatroid@gmail.com



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