Fashion, Collection, Tokyo 2019-20 A/W

tiit tokyo 19 A/W Collection

 
目をつぶって夜の物音や声をきいてみると
 
ゆっくり何かがみえてきて
 
夜の中に虹ができた
 
 
「tiit tokyo」の2019年秋冬コレクションが渋谷ヒカリエにて行われた。
 

 
テーマは「voice」だ。心が穏やかな夜に目をつぶるときこえてくる物音や声から想像して、世界観がつくられていった。会場に入ると、ずっと会話が聞こえてくる。アメリカの女の子と母の喧嘩してる声。ティーンたちの教室での会話。今回のショーは、70、80年代のアメリカのレトロなオールドスクールムービーを作る雰囲気を取り入れて、構想されたという。会場に流れる声たちは、キラキラしてるだけでなく一生懸命突き進んでいってるつもりでも、周りを破壊して歩いてしまっていたあの日々の思い出を呼び起こして、私たちはズンズンと青春レトロムービーの世界に引き込まれていった。
 

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夜の中に掛かった虹色のランウェイを歩くモデルたちは、映画に出てくる登場人物である。背の低い控えめな子もいれば、自信に満ち溢れてみえる子もいるし、自分は周りより大人だと思っている子もいるだろう。彼らに統一感は求められず、ヘアメイクはそれぞれの個性に合わせて施されている。また、今回のコレクションではよりリアルな世界観をつくるためにメンズも取り入れられた。
 
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リラックスムードのデイリーウェアが多いなか、目立っていたファーのポンチョ。彼女は高校を支配するお金持ちのクイーンビーといったところであろうか。
 
 
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チュールに全身が包まれて、両手は不自由である。彼女が外の世界を求めた時は、チュールを引き裂いて両手を解放するのであろうか。それぞれの気温の感じ方さえも個性的である。
 
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ナードな雰囲気を持つ少女。ネオンピンクの足元から外交的な自分への憧れが感じさせられる。
 
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穏やかな夜にイメージされているので、リラックスウェアが中心。
 

SNSも携帯電話もなかった70、80年代。彼らは、SNSによってつくられる意見の波に惑わされることなく自分の立場を決められる。一人一人のキャラクターは、今よりももっとずっと立っていた。そんな彼らの出演するレトロなオールドスクールムービーの本編はどんなストーリーだったのだろうか。
 

 
 
text/越智柚月
photo/櫻井美羽