Fashion, Interview

s.nakaba 3/3


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気鋭のジュエリーデザイナーSHINJI NAKABAにインタビュー。





身体に着ける事のできる彫刻(Wearable Sculpture)という考えのもとジュエリーを制作。宝石や貝に躍動感あふれる彫刻をほどこしたカメオと、アルミや鉄、エポキシ樹脂などを素材にしたファッション性の高いジュエリーのふたつを柱とする。カナダのモントリオール美術館などに作品が所蔵されているほか、ニューヨークコレクションでランウェイを飾るなど、ファッション界とのコラボレーションも多く、今注目を集めている。


■「試作品としてのジュエリー」


今自分が面白いと思う事柄に対してひたむきに突っ走る。SHINJI NAKABA氏が常に大切にしていることだ。未来のためにこつこつと努力するよりも、今面白いと感じるもの全てに手を出す。そんな姿勢が数多くのファンを生み出す原動力となっているのであろう。とりわけ彼がこだわっているのは「試作品」、すなわちプロトタイプである。朝目覚めては突発的に作り上げたものや、日常的な素材から作り上げた今までにないジュエリーたちが商品として完璧かと問われれば答えはノーである。


「そんなふうにして思いつきで作られたジュエリーを人のお店に並べるということは非常に難しいです。お店に並べるということは完璧な商品を提供するということですから。完成度の高いもの、素晴らしいものは今の時代たくさんある。お金を出せばそろえられますしね。だけど僕は試作品を売る。量産品ではないのでコストは高いかもしれないです。けれど、作者が思いつきでわくわくしながら作った最初の試作品をお客様に提供したいんです。自動車でもたまにプロトタイプが展示されていたりするじゃない? 実物大で粘土でつくったものだったり。あれって世界に一つしかないんですよ。あれを 欲しいと思う感覚に近いですよね笑」


試作品を顧客が実際に身に着けることで初めて完成に一歩近づくのである。例えばある部分が服に引っかかってしまうのであればその都度リペアを施して完成に近づければいい。常にお客さんと話し合うことで改善を重ねていくことが面白いし、お客さんとのコミュニケーションは新たなアイデアが生まれるきっかけになる。例えば彼の代表作ともいえる「フラン」。あれはもともと彼の展示会に来ていたフランス人の女性、フランソワーズキャロルさんのわがままから生まれたそうだ。彼女はイヤリングが欲しかったが耳に穴が空いていないというので、なにかいい方法を考えてくれないかと頼まれたことから、ピアスをかけるためのイヤーピースとして制作されたそうだ。


「そういう面白いものを単純に楽しんでくれているお客さんが多い。それはありがたいことです。でもお客さんのことを第一に考えるというよりかは、自分の感性をとにかく大切にしたい。たまにお客さんが僕の作品についてこられなくなって、一体どうやって使うんですか?と聞かれることがあるんです。」


浮かんだアイデアはお金に換算できない。ある意味実験的な挑戦である。作者が突発的な閃きから夢中で作りあげたものは大量生産された商品にはない「味」がある。そして物の値段は用いられる素材だけで決まるものではない。一人の人間の独創的な感性、人目につかないところで黙々とカナヅチをたたいて必死で作り上げたもの。あるものを消費するとき、我々はその全てのプロセスに対しての対価を支払っているのではないだろうか。まだ先の話ではあるがこの夏には展覧会が予定されている。是非彼の作品を見に足を運んで頂きたいと思う。今まで目にしたことのないような新鮮で芸術的なジュエリーがきっとそこにはあるはずだ。


SHINJI NAKABA’s WORKS





SHINJI NAKABA

身体に着ける事のできる彫刻(Wearable Sculpture)という考えのもとジュエリーを制作。宝石や貝に躍動感あふれる彫刻をほどこしたカメオと、アルミや鉄、エポキシ樹脂などを素材にしたファッション性の高いジュエリーのふたつを柱とする。カナダのモントリオール美術館などに作品が所蔵されているほか、ニューヨークコレクションでランウェイを飾るなど、ファッション界とのコラボレーションも多く、今注目を集めている。
Web : http://www.s-nakaba.com/


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