音楽から生まれるファッション
10月15日、表参道ヒルズにて(I)LL ITの2020春夏コレクションが発表された。
ブランドコンセプトは「GENRELESS GRUNGE」。グランジは薄汚れたなどの意味をもつ米俗語である。またロックミュージシャンのカート・コバーンの服装がストリート化したものをグランジファッションと呼び、90sに流行した。
本コレクションもグランジファッションを彷彿とさせるつぎはぎや重ね着、プリントTシャツが印象的であった。
テーマは – bouquet –。大切な人からもらった花束をもとに製作したそうだが、新たな一歩を踏み出したブランド自身への祝福のようにも感じた。
トゲのある環状のマークはカラタチという植物がモチーフとなっている。
モノトーンから一変、ピンクのシャツに花がプリントされたTシャツ。
まっすぐ決められたように歩く姿よりゆらゆらと思うままにリズムに乗る姿が魅力的に写る。
ランウェイだけでなくデザイナーと交流のあるアーティストのライブも行われ、退廃的な世界観でありながら人と人とのつながりを感じさせる。
ただ服を見せるだけではなく、ライブを取り入れることで音楽から生まれたというバックグラウンドを強調し、エンターテインメント性とアイデンティティに富んだショーであった。
text/松田あやね
photo/越智柚月