Fashion, Collection, Tokyo 2019-20 A/W

JieDa 2019 A/W Collection

 
クチコミをたよりにレイブの元に寄り集まり
 
無秩序に踊り狂う。
 
「JieDa」の2019秋冬コレクションが渋谷ヒカリエにて発表された。
 
今回のテーマは「レイブカルチャー」。90年代後半に生まれた私たちにとって聞き馴染みのない「レイブ」とは、80年代後半のイギリスでうまれたゲリラ的に行われる音楽パーティーのようなものである。
 

一見、バキバキに決めているだけのようにも見える今コレクション、実は「侘び寂び」という和のエッセンスから始まっているという。あったものが朽ちていき、寂れていく、でもそれがまた美しいという侘び寂びの精神を、90年代後半から2000年代前半に盛り上がっていたレイブカルチャーをあえて今蘇らせることによって表現した。
 
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剥き出しの照明にスモーク、テクノミュージックとレイブらしい安全でない雰囲気漂う会場。正面だけでは面白くないからという理由で、モデルの動線は予測不能に張られた。
 
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メンズブランドであるが、ランウェイにはメンズを着用した女性モデルの姿もあった。
 
 
SNSもない時代、若者たちはクチコミをたよりに音楽の元に寄り集まり、無秩序に踊り狂った。その存在は徐々に少しずつセレクティブに広がっていく。そうして、人と人が感覚的に繋がっていきながら、自分たちだけの秘密の場所(レイブ)がつくられていったのだ。
 
そんな時代を私たちは知らない。しかし、全く性質の違う時代を生きているのかというとそれもまた違うと思う。私たちは同じことをSNSを使ってやっているのだ。確かにそれに費やすエネルギーや時間はぐんと少なくなったが。私たちは、SNSで「どうか私を見つけてくれ!」という気持ちで一生懸命に自分を表現する。もしくは、見つけてほしい人に合わせて表現することもあるだろうか。そして自分と同じバイブスを持つものに出会うと頷き合い、互いにフォローする。そうやって徐々に似たもの同士が繋がってまとまりができていくのだ。
 

 

 

平成最後となった今回のAmazon Fashion Week Tokyoにて大トリを務めたことについて、デザイナーの藤田宏行氏は、「僕でよかったんじゃないですかね。」と愛嬌たっぷりに語った。感覚的にかっこいいと思うものを詰め込んだエネルギッシュな平成最後の東京コレクションであった。
 
text/越智柚月

photo/中村宜嗣