3月19日、Asian Fashion Meets Tokyo(Indonesia)が渋谷ヒカリエにて行われた。
Asian Fashion Meets Tokyo (Indonesia)は、Jakarta Fashion WeekとAmazon Fashion Weekを主催する一般社団法人日本ファッションウィーク推進機構とのコラボレーション企画である。
Jakarta Fashion Weekは東南アジア最大のファッションウィークとなっている。今回はその中から、Danjyo Hiyojiとeriという全く個性の異なる2つのブランドがAmazon Fashion Week Tokyoにて発表された。過去にフィリピン、タイ、ベトナムともコラボレーションしてきて、Amazon Fashion Week Tokyoの中でも定番となってきたこの企画の目的は、主に2つあるようだ。一つ目は、Amazon Fashion Week Tokyoをアジアのファッションのハブ的存在にすること、二つ目はファッション産業のビジネス連携の推進だという。
Danjyo Hiyoji
2人のデザイナーDana Maulana(ダナ マウラナ)とLisa Masitha(リザ マシタ)が手掛けるDanjyo Hiyojiは自身のスタイルを確立した人々に楽しんでもらえる服創りを目指すブランドである。
今回のショーのテーマは「hope」だ。2020年に開催されるオリンピックに向けていっぱいのエネルギーを放っている東京。インドネシアにまでも届くそのエネルギーを今回、希望というかたちで表現した。
揺れるフレアにプリントされた大小さまざまの体操選手たち。写真では単に逆立ちをしているように見えるイラストも、モデルの脚に揺さぶられるとエネルギッシュな宙返りに見えてしまう。
新体操の花形競技リボンを演技する選手たちがプリントされたデザイン。実際に描かれたリボンだけでなくシャーリングに用いられたゴムまでもが選手の操るリボンの軌跡に見え、全体を華やかで楽しい雰囲気にしている。
サッカーをモチーフにつくられたカモフラージュ柄が、ジャケットの下から抑えきれないハッピームードをこちらへ飛び出させてくる。
2020年、東京にオリンピックがやってくる。日本に住んでいる私たちにとって、ここ最近聞き慣れすぎて実感できなかったこのフレーズをコレクションで見事に表現し、オリンピックのつくるワクワクの感触を私たちに呼び戻してくれた。
eri
デザイナーのErudani(エリダニ)の手掛けるeriは、オーガニックコットンやリネンを使用し、様々な場面に合わせやすいドレッシーなスタイルを提案するブランドである。
今回初めて仕事のために祖国を出たデザイナーのEridani氏が、子供の頃に読んだPrincess Kaguya Story(竹取物語)からインスピレーションを得てつくられた今回のショー。コレクションの各所には、ブランドの代名詞であるドレープが落とし込まれている。Eridani氏は、私たちはみんな竹林の中から街へ飛び出していったかぐや姫に例えることが出来る、と言った。”You have to go even you don’t wanna go.”というシチュエーションが挑戦する私たちには訪れる。自分の選択で慣れ親しんだ竹林から一歩外の街に出る、そんな時にどんな服を着ようか、そんな事を考えながらEridani氏は今回のコレクションを作ったという。
まさにかぐや姫を連想させるヘアメイク。一列に並んだときの少し気味の悪い雰囲気が日本古典の神秘的な世界観を作っている。
動きにくくなりがちの着物から和のムードを残しながら、着心地の軽さを実現しているデザイン。
初めてジャカルタという竹林を出て、新しい挑戦をしたEridani氏だからこそつくれた今回のコレクション。なにもわからない新しい土地に飛び出さなくてはならないとき、日本最古のヒロインかぐや姫に自分を重ね合わせてみてほしい。かぐや姫にできたのだから私たちにもできる。ついでにちゃっかりかぐや姫の美しさも自分に吹き込ませたりもして。
text/越智柚月
photo/杉本和花奈