Asian Fashion Meets TOKYO 2017 a/w、微笑みの国タイを代表したのはデザイナー、リンダ・チャランラーブ手がける『LALALOVE』だ。パーカオマーと呼ばれる、タイではおなじみの腰巻きを全面に押し出したスタリングが次々とランウェイをファンタジックに染めていく。そのパーカオマーのマドラスチェックをベースにユーモラスでエッジの効いた動物の絵が「Kawaii(カワイイ)」という言葉を彷彿とさせた。
この言葉は最近では海外の人にも馴染み深いものになってきている。東京の街に出ればいつだって「Kawaii」洋服に出会うことは容易である。そういった意味で今回のコレクションで発表された作品は、東京の街には、さほど目新しいものとして受け入れられている印象はなかった。
しかしながら、気さくに取材に応じてくれるリンダの話を聞くうちに、なぜ彼女がマドラスチェックにこだわって東京でコレクションを発表したか、だんだんとわかってきた。マドラスチェックの布、パーカオマーは、タイの小さな村で作られる伝統的なコットンの織物である。その技術は代々受け継がれ、現代でも村の若者から高齢者まで村中の全員が日常的に身につけているそうだ。リンダは自分の故郷の伝統工芸を世界に知らしめたい、といつもの普段着にキャッチーなデザインを織り込んで世界に発信した。
「Uncool to be Cool,so Uncool is Cool」彼女の口から何度も何度も聞いたこのフレーズが頭から離れない。東京のランウェイを歩くのがおばあちゃんの手作りだなんて信じられないでしょ?イケてないって最高じゃない?…若手デザイナーのエネルギーには脱帽だ。
text/須藤志央里
photo/鈴木優人