「男らしさ」「女らしさ」ではなく、「自分らしさ」。
AFWT2017s/sのラストを飾ったのは清水則之手がける「Name.(ネーム)」だ。今季の着想源はThe Whoの「The kids Are Alright」から連想したノスタルジーなイメージと、Ryan McGinleyの同名の写真集から連想した豊かな色彩感覚や自由な若者達。
ショーはブラックのランウェイにパキッと映えるオレンジのストリートウェアから始まった。パンツにせよアウターにせよ各アイテムが少し大きめに作られており、それはまるで親が若い頃着ていた洋服を引っ張り出してきたかのようだ。
ハイウェストでタックインしたスタイリングやビッグシルエットのトップスにベストを組み合わせたスタイリングは一見見慣れないスタイリングであるが故に、今回のテーマである”自由な若者達”というフレーズを彷彿とさせる。またボーイッシュなヘアスタイルの女性モデル、華奢な体格の男性モデルを起用することで、ジェンダーレスでなおかつ新感覚なファッションを提案していたように思った。特に男性服の女性化に代表されるジェンダーレスであるが古くはモードの世界ではメンズ、レディースと線引きされ全く別物として扱われてきた。最近では、以前までサブカルチャーとして流行していたジェンダーレスファッションが世界的に注目され、性別に対する意識が変化してきたことを強く表現している。今回のコレクションでは、”異性のコピー”ではなく”性差そのものをなくそう”というジェンダーレスファッションの極意を顕著に表しているのではないかと感じた。清水則之の考える”自由な若者たち”というのは、これからを「男らしさ」「女らしさ」で生きるより、「自分らしさ」で生きるほうが尊重される時代になってきたのだというメッセージを含んでいるように思えた。
期待と興奮に溢れたAFWT2017s/sは、祭りの後のような雰囲気を街に残し、これにて幕を閉じた。
Text/Shiori Sudo
Photo/Angie, Kaede Sato