あなたにとってファッションを楽しむとは?
2016年10月22日、渋谷のみやしたこうえんにて、Fashion Port New Eastのショーが行われた。デザイナーHelena Lumelsky (ヘレナルメルスキー)によるLena Lumelsky 2017年春夏コレクションは、ネガティブな世界情勢とは逆に、明るく楽しいラッキー女の子をコンセプトにしたという。
ドレスの内側一つ一つに「My lucky dress」、「I put a spell on you」などのラッキーな気持ちになれるようなメッセージが縫い込まれており、ポップな色づかいに、大ぶりなフリルがあしらわれた数々のドレスは女の子の目を奪い、私たちをハッピーな気持ちにさせた。
女の子はみんな、それを着ていると素敵な人に出会えたり、ハッピーな気分になれる、自分にとってラッキーなドレスを一着は持っている。そんなラッキードレスを、普段はブラックなどの色遣いが多いヘレナだが、今回は夏に向けて明るく楽しいラッキーな色遣いで作った。素材は女性の体を包みこむようなものを好み、歩くたびに身体を包み込み、流すような素材使いを意識したという。コルセットも柔軟性のある素材で、締め付けるのではなくデイリーに着やすい素材を使用。すべてナチュラルなファブリックを使うことにこだわり、シルクやコットンなどを加工によって凝ったクチュールのように仕上げる職人の腕を見せたかったという。
また今回東京でコレクション発表に至った経緯に関しては、アントワープ卒後に初めて見せたのが、現在ファッション界を席巻しているVetemens(ヴェトモン)のデザイナー、デムナ・ヴァザリアとともにStereo Types(ステレオタイプス)として東京コレクションに参加した2007年。多くのデザイナーが原点回帰をするように、ヘレナにとってはそれが東京。アントワープ卒生の多くは東京に影響を受け、魅力を感じている。今回9年ぶりに東京に訪れて、日本のファッションもとても変わっていて刺激を受けたという。
今回のコレクションは“女の子がファッションを楽しむための服”というようにも感じ取れる。ファッションを楽しむとはどういうことなのか。とても大きな議題であり、おそらく答えは一つではないので、あくまで一個人の考えにはなるが書いてみたい。知人と、ファッションを楽しんでいる人たちには、自分自身がオシャレをするのが好きな人々と、オシャレをしている人たちが好きな人々に分かれる。といった話をしたことがある。もちろん両方に当てはまる人も多いのだろうが、私自身は前者寄りである。なぜファッションが好きなのかと問われると、私自身上手く説明はつかないのだが、おそらくオシャレを自分自身が楽しんでいる側の人たちは、オシャレをしている自分自身が好きで、自分自身のアイデンティティのようなものを表しているのではないだろうか。また筆者の周りにいる、後者のオシャレをしている人たちが好きな人々は、芸術や音楽などにも深い関心を持ち、感性が豊かで文化人気質な人が多く感じられる。こうしていろいろ考えてみたものの、結局は自分が好きなものを好きなように着て楽しむということこそ、ファッションを楽しむ。ということの1番の醍醐味なのではないだろうか。
Text/濱崎真実
Photo/angie