Fashion, Collection, Tokyo 2017 s/s

haori de TiTi 2017 s/s installation

あなたはなぜ今「その服」を着ているのか?時代や様式にとらわれないということ。



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10月21日、salondeTiTi青山本店にてhaorideTiTi2017春夏コレクションが発表された。

今季のテーマは「Muses~rene´Laliqueの女神たち〜」。デザイナーの八巻多鶴子氏は、ルネ・ラリックがアールデコ時代に生み出した美しい女性のガラスアートからインスピレーションを受けたという。そのため、今回のインスタレーションはルネ・ラリックのコレクターである鈴木尚志氏のガラスアート作品も同時に展示する方式で行われた。会場となったsalondeTiTi にはたくさんの美術の本が置かれ、八巻氏にアートが多大なインスピレーションを与えていることがうかがえる。



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今回のルックは全体を通して色合いはモノトーンをベースにまとめられているが、その中でもオリエンタルなフリンジ、繊細な総レースのワンピース、シルバースタッズなど東欧を意識するアクセントによって、多彩な表情をもたせている。コレクターの鈴木氏の「ルネ・ラリックの作品と八巻さんの作るお洋服は似ている」というお話を聞いた。ラリックのオリエンタルな模様や日本の仏像を感じさせる崇高さや気品、肌を出していても艶めかしすぎない気高さが今回のルックとラリックの共通する部分に感じた。女性の魅力を最大限に引き出しているインスタレーションだった。


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haori de TiTi のコンセプトは現代の多様化するライフスタイルにおいて、時代や様式にとらわれないデザインである。なぜこのようなコンセプトにしたのだろうか。私は現代の日本は時代にとらわれすぎているからではないかと考えた。
電車で周りを見渡すと多くの女性が柄やマークも見れば一目でハイブランドとわかるバックを持って歩いている。一部ではルイヴィトンの全世界の売り上げの4割が日本とも言われている。大学内でもチョーカー、刺繍の入った服、アッシュの髪色など今のトレンドを身にまとった女子大生が行き交う。どんな思いで見にまとっているのだろう。可愛いから?みんなが持っているから?持っていることがステータスだから?

もちろん流行のアイテムやマストアイテムはおしゃれを楽しむために欠かせない。しかし、現代の日本人はそのアイテムを持つことに固執しすぎていて、ファッション自体を楽しんでいるひとは少ないように感じる。自分が素敵だと思った服を、素直に手にとって着ることができる人が少ないのではないのだろうか。もっとファッションに対して柔和に考えていくために、個人的には、日本のマスメディアに変化が必要だと思う。雑誌媒体は、「〜を持っていないと」「今すぐ買って!」「〜はもう古い!」と謳う。いわゆるトレンドを追いかける雑誌が日本には多い。変わらないもの、時代や様式にとらわれない日本発の雑誌が評価されても良いのではないだろうか。




「なぜ人はその服を着るのだろう」ー現在放送されているユニクロのcmのナレーション。もう一度、今自分が着ている”その服”を着ている意味を自分自身に問いかけてみたい。




Text/今井絢花
Photo/加藤華椰