UMIT BENAN 2017 s/s collection

東京コレクションはこのままでいいのか!?

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2016年10月18日、ヒカリエホールAにて、UMIT BENAN(ウミットベナン)2017年春夏コレクションが発表された。
今季のテーマは ”A Mexican Guy Living in Texas”。 我々観客は、会場に足を踏み入れた瞬間、足元の感触の異変に気が付く。床には砂漠のごとく砂が広がり、いくつものサボテンがランウェイ上にはたたずんでいた。

今回のコレクションは、umit benan本人が旅行中に目にした、興味を惹かれる”A Mexican Guy Living in Texas”からインスパイアを受けている。トラックの荷台に乗って国境を超えることを楽しんでいるようなメキシコの‘ガキ’たちや、メキシカンのこてこてなカウボーイスタイルではなく、メキシコのトラディショナルを残しつつ、ヨーロッパナイズドされたスタイルがイメージされている。

今回のファッションウィークでのumit benanの来日は、オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査、文化を通じた機運町制施行プロジェクトであり、2020年に向かっての文化事業の一つである。世界的に影響のあるデザイナーumit benanによる、自らの世界に向けた発信が目的とされている。さらに、日伊国交150周年である本年、外務省認定正式記念事業として、ミラノで代表的かつ人気を集めるumit benanの来日ショーが行われたのだ。何より、多い時には年間16回もの来日をする親日家の彼は、日本の産地や素材にも詳しく、日本とイタリアを比べたうえで日本の良さを語れる人間だからこそ日伊国交の懸け橋として今回抜擢されたのであろう。

またumit benan自身は、今回東京でコレクションを発表するまでの経緯として、「全部その時の自分の気ままな思い付きであり、自分の気持ちに素直に従ったらこうなった」と語る。
そして、東京コレクションへの招待を受けたことにより、刺激を受けさらに新しいアイデアが自分の中に沸き上がってきたという。また、パリでのショーはバイヤーやプレスに向けたビジネスなショーになりがち、自分にとってのショーは、ビジネスというよりはコレクションの完成セレモニーのようなもの。その点も今回パリでショーを行わなかった理由の一部だという。


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そしてumit benanは日本のファッションについても
「日本ほどファッション産業のどこを切り取っても尊敬できる素晴らしい国はないということを認識してほしい。日本のファッション自体は非常にレベルが高いのに、みんなファッションウィークが盛り上がってないってみんな言う。けれどそれをもっとみんなで考えて、ここにいる人たち(ファッション業界者や、報道陣)が盛り上げていかなければならない。」と熱く語ってくれた。

日本のファッションウィークを盛り上げるためには、我々はどうするべきなのだろうか。確かに数多くの有名デザイナーを輩出し、「kawaii」や「ロリータ」などという日本独自のファッション文化を世界中に広め、ファッション大国として知られる日本ではあるものの、その割に、日本で一番大きなファッションの祭典であるファッションウィークは盛り上がりに欠けている。ファッションウィークとはいわゆる東京コレクションだが、日本人の何割がその存在を知っているであろうか。おそらく約8割の人には通じないし知らないであろう。もしくは別のイベントと勘違いして認識している人も多くいる。その程度の知名度なのだ。だがフランスでパリコレを知らない人なんているだろうか。いたとしても極少数、我々日本人でさえ多くの人が知っているのだから、フランス人は知っていて当然だろう。日本のファッションウィーク主催側も、盛り上げようという試みで、X JAPAN YOSHIKIによるエンターテイメント性の高いブランドの特別なショーを目玉としていたりする。がしかし、確かにメディアなどにも大きく取り上げられ、話題にはなるものの、結局はYOSHIKIという有名人がショーをしたということだけに注目が集まっているだけで、ファッションウィーク全体自体を盛り上げる根本的な打開策にはなっていないのだ。

ではなぜこんなにも盛り上がりに欠けているのだろうか、それには一般の人の参加率が関係するのではないかと個人的に考えた。ファッションウィーク中の主な行事と言えばコレクションショーであるが、そこにはプレスやバイヤー、モデルなどの招待客しか基本的には入ることができない。故に我々が期間中、毎日顔を合わせる人たちも、招待客を除けばほとんど変わらない。日本全体で盛り上がるようなイベントにするためには、多くの人に知ってもらう必要があるのに、ファッションウィークに参加することができる人が限られているのでは、umit benenが素晴らしいと言ってくれた日本のファッション産業を一般に知ってもらう機会を逃している。それでは盛り上がるものも盛り上がれないのだ。日本のファッションウィークをこれから盛り上げていくためには一般の人々が参加できるイベントが増える必要があるのではないだろうか。







Text/浜崎真実
Photo/加藤華耶


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