Fashion, Interview

人気アーティスト・平山昌尚さん INTERVIEW

“あさおきてさいしょにすることは?”

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“あさおきてさいしょにすることは?”
路地裏ビルの地下へ向かう階段を降りると、こんななぞなぞが待ち受けていた。
LINEスタンプなどでも人気のアーティスト・平山昌尚さんの個展「ゲーム|Game」にお邪魔した。
「これ、わかります?」と、なぞなぞをきっかけに始まった取材。答えは、「目を開ける。」
あ~、なんだ、そういうことか、思いながらも、普段使っていないような頭のどこかが、動き出した気がした。そして、ユーモアに溢れ、鋭い感性で日常を切り取る平山さんの世界に引き込まれていった。
彼はそのシンプルかつ独特な手法とタッチで、何を思考し、表現するのだろうか。

―――ドローイングをはじめとする制作活動を始めたきっかけは何ですか?
そこに紙とペンがあったからですかね(笑)。こどもの頃から絵は好きでした。現在の様々な活動の原点はドローイングで、ZINE(個人が自由に創作できるアートブック)の存在が大きいです。本屋さんとかに置いてもらって、自分が描いたものを見てもらえるのが手頃でいいなと思ってはじめました。

―――制作にあたってインスピレーションを得るものはありますか?
そうですね、日常生活とか、旅行の思い出とか、経験したこととか、色々なところから着想を得て、作っていくという感じです。「あえて」っていう部分は、あるとは思うんですけど、図らずとも気になって見てしまうもの、奥が深そうにみえるものを特に面白いなって思います。今回の展示の絵のもあるように、ゴミ捨て場とか、割れた蛍光灯とか。

―――平山さん独自の世界観を形成する段階で、こだわりなどはありますか?
僕は、テンションが軽いというか、一つのものに対して時間をかけてやるというより、アイデアがパッと浮かんだ時点でささっと描いちゃいます。集中力が保てないっていうのもあるんですけど。題材も、自分が表現するのには、血生臭くてシリアスなものよりお手軽なものが合ってるのかなって思います。その辺は自分でコントロールしてるかもしれないですね。

―――制作活動において影響を受けた人物はいますか?
最近だと、加賀美健さんですかね。やっぱり身近な人に一番影響を受けてるなって気がするんですよ。作風自体というより、ユーモアとか、ジョークみたいなセンスやそのとり入れ方においてすごく影響をうけています。よく一緒に企画や展示もするので、お互い刺激し合うような関係です。

―――ご自身の作品に込めるユーモアなどについてはどうお考えですか?
ユーモアってありすぎても変だけど、あったほうがいいかなって最近は考えています。想像するための余地をどのくらい残すか、表現の成立に関するさじ加減に興味があります。たとえば、作品全部に込めなくてもいいとは思っているけど、何点かにあると展示全体を通して良くなるかなって。僕、展示って定食みたいだなって思っているんです。お膳が空間だとすると、ご飯と、みそ汁と、様々な作品がそれぞれあって、ひとつの定食だなって。それで、それぞれを咀嚼することで全体の見え方も変わってくる。展示会なんかではそれを狙ったりしています。丼も好きなんですけどね。

―――日本だけでなく、幅広く海外にも出向いて活動していらっしゃる印象ですが。
そうですね、もう行ける所ならどこへでもって感じです。

―――またドローイングに限らず、パフォーマンスやワークショップなど幅広い分野で活躍されていますよね。
もうなんか、来る仕事は全部引き受けている感じです、ファッションショーの演出とかもその仕事に影響を受けて、また新しい自分の制作に生かせたりとかするので。制作もパフォーマンスも、周りを巻き込んだアートって面白いと思います。

―――多方面どの分野の活動においても、一貫して大切にしていることはありますか?
場に応じたその時々の状況をできるだけ生かすことでしょうか。マイナスを生かして、柔軟に自由に、型にはまらず、あっさりと臨機応変に対応することです。

個展「ゲーム|Game」は8月14日(日)までタリオンギャラリーにて開催中。
同個展では、自身の体験や見聞きしたこと、子供の頃に楽しんだ「なぞなぞ大百科」など、さまざまなモチーフから「ゲーム性」を見出し表現した作品の数々が展示されている。


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