ESMOD JAPON 2014年度 卒業生紹介 青柳 寿香
レトロでファンシーな服に憧れを抱きつつも、無難な服を選んでしまう素直になれない不器用さを持つ女性に向けた服づくり
・エスモードを選んだ理由（きっかけ）を教えてください。
私は大学の被服学科で学んでいたのですが、そこで教えてくださっていた先生にパタンナーを目指したいと相談したところ、技術ならエスモードだよと薦められたのがきっかけです。さらに、大学３年次に土曜コースで学んだ際にとてもアットホームだったことや、夏期講座などの体験授業が魅力的で楽しかったこと、就職率が高いことも大きな理由になりました。
・エスモードで学ばれて良かった点、印象に残っていることをお聞かせください。
デザインの授業において良かった点は、自分とは何か、自分にだからこそ打ち出せるオリジナリティとは何かということとしっかり向き合えるという点です。
パターンの授業においては、学校が求めるクオリティが高く、確かな技術を身に付けられるという点です。
また、教えてくださる先生方が現役のデザイナーとして活躍されている方やフリーでパタンナーをされている方なので、そういった方々の感性に触れることが出来たことは大きな刺激になりました。
特に印象に残っていることは、自分自身と向き合うことで、それまで見えていた世界がどれだけ自分の考え方に縛られた狭い世界だったかに気付くことが出来たということです。
・卒業制作にあたって特にこだわられた点はございますか。
自分らしさを貫くことと、時代性を無視しないことです。
今回のコレクションのテーマは「sweet old memories」で、祖母の手編みのニットにインスパイアされ、懐かしさと新しさが共存する服を目指しました。
シルエットや柄においては、自分の持っているクラシックでレトロな感覚や、ちょっとずれているけれど人から共感してもらえるような子供っぽさや可愛らしさを大事にして、素材の組み合わせやカラーを含めて時代の空気感を纏うように心がけました。
また、全てに手編みのニットを使用し、素材を手で染めて刺繍を施すなど、私が祖母のニットから感じた丁寧で温もりを感じるような手作業にこだわりました。
・ブランドのコンセプトについてお聞かせください。
コンセプトは、「レトロでファンシーな服に憧れを抱きつつも、無難な服を選んでしまう素直になれない不器用さを持つ女性に向けた服づくり」です。
自分自身が育った環境や家族から受けた影響など、自分のルーツから沸き起こる感情や情景をもとにデザインをしています。私の服を見てもらって、ポジティブなメッセージを受け取ってもらいたいと思っています。
・当日、審査員の方々に言われた事で印象に残っていること、得られた新しい視点などございましたら教えてください。
私は、今回ショーピースとして誇張したデザインで制作を進めたのですが、もっとリアルクローズに落とし込んだものが見てみたいという意見と共に、コンセプトにある女性とはどんな人なのかをもっと突き詰めることで、服に現実味が増すというアドバイスを頂きました。私のミューズは、私自身でもあるので、もっと自分が普段着たい服を思い切ってデザインしてみようという気持ちになりました。
また、一点ものとして作るものと、生産ラインにのせるものをどちらも提案することが出来ればより良かったなと思いました。
さらに、ニットと布帛との組み合わせに、しっくりきているものとそうではないものがある、という意見も頂きました。それは、自分自身でも甘いと感じていた部分だったので、もっと実験を繰り返して臨む必要があったと思っています。
特に印象に残っているのは、優しい服で人間性が現れているね、という言葉で、この言葉を頂けた時はとても嬉しかったです。
・今後の展望をお聞かせください。
人として、パタンナーとして一つひとつの経験を大切にし、周囲に必要とされる存在になることです。そして、将来的にはオーダーメイドの服づくりをしていきたいです。
