ESMOD JAPON 2013年度 卒業生紹介 那須 絢介
wonderwall
「CEMENT」
・エスモードを選ばれた理由(きっかけ)とエスモードで学ばれていて印象に残っていることを教えてください。
文化とエスモードの2つしか服飾学校を知らなかったので2校を比較した後、エスモードの方がこぢんまりとしていて僕に合っていると思いました。所謂大学生的なノリは卒業して、しっかり職業訓練をしたかったので少数精鋭で専門職の就職率が大半という点に惹かれました。まぁ結局学生みたいに飲みまくってたわけですが・・・やめていく生徒も多く、卒業した同学年の友人は一癖二癖あるなかなかの曲者揃いです。そうした友人たちとの日常は毎日が刺激的でした。
・卒業制作にあたって特にこだわられた点はございますか?
カッティングにいかに機能的なディティールを盛り込み、デザインとして昇華させられるかが大きな課題でした。また、ほとんどのアイテムに自分自身で墨染めを施しています。濃淡コントラストや抜染を利用した柄をカッティングに対して有効に配置し、コレクションのテーマである”CEMENT”を表現しようとしています。特にフードは何度も修正を加え、テーラーの芯材を応用するなどして首周りの雰囲気を保てるようにしています。
(左)那須さん (右)森部さん
・ブランドのコンセプトについてお聞かせ下さい。
wonderwallと名を冠した学生時代の製作は、「寂寥、反逆、美」をキーワードとした男性像の創造でした。デザイン画のイメージをいかに現実の服に落とし込めるか?その服に実在する人間が袖を通したとき新たにどんなイメージが生じるのか?そのセッションから生じるキャラクターの創造がこのプロジェクトの目的でした。
・当日、審査員の方々に言われた事で印象に残っていること、得られた新しい視点などございましたら教えてください。
「モノはしっかり作ってるんだけど、そっから先に何を求めてるの?」
ある会社の社長さんからいただいた言葉で、私に限らず今回の審査会全体を通して感じられたそうです。往々にして作り手は良いものを作ろうと腐心するあまりモノに固執しすぎて、傲慢になりがちです。今まで独創性や目新しさを追求することが金科玉条のごとくたたえられてきましたが、今の時代それだけでは不十分です。
実際、学生の卒業制作のレベルで社会的意義がどうこうと意気込んでもかえって浅薄な出来になってしまったでしょうし、私自身割り切ってモノのみ作り込んだことは後悔していません。ですが今後社会人として仕事をしていく上で、指摘をうけたことは業界全体の課題でありますし、閉塞する市場の突破口であるということは広く言われていることです。安易なエシカル、エコ礼賛でファッションをラベリングするのではなく、価値の本質が今一度服そのものに戻ってくるようなパラダイムシフトを若い世代が牽引しなければアパレルはどんどんつまらない業界になってしまうでしょうね。
デザイン・パターン Shunsuke Nasu
パターン Yuki Moribe
モデル Kei Fukagawa
靴製作 Satoshi Yamazaki
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