2013-2014 A/W 東京コレクション
fur fur 2013-2014 A/W
「あのこ」
2013年3月22日ラフォーレ原宿ミュージアムにて、furfurのコレクションが行われた。
真っ暗闇の中に、一つの椅子と、ピアノが置かれた会場。
ショーは前田エマさんの朗読と、寒川唱子さんの「ド」だけで演奏するピアノでスタートした。
今回のテーマは「あのこ」
記憶、切なさ、希望、絶望、喧噪の中野静けさ、救い、余韻。暗闇の中の記憶を紡ぐ。
カラーリングは珍しい黒一色のハードなコレクションが並ぶ。シンプルでカッティングが綺麗な黒のドレスから始まり、装飾のあるワンピース、レザージャケットを使用したスタイリング、セットアップ、ボリュームのあるミニワンピにシンプルなロングコートといった女性らしくも強さのあるスタイルの提案がなされている。
今回で「furfur」になってから10シーズン目となる。
furfurといえば、生成りやレース・フリルといったガーリーなイメージが強い。
「続けていくうちに段々と売れるところに近づいていき、可愛いところが増えてきてしまった。前回くらいから、これって自分なのかなっていう洋服と、毎回自分が考えているコンセプトの部分にギャップが出てきた。物作りをしていると、“可愛い”ところが“売る”ということと直結してたりするんです。そこが必然的に増えてきてしまったと感じていた。」と語るデザイナーのチダさん。
続けていくことの苦労や、デザイナーとしてのプライド、商品展開としての難しさ。
そんな気持ちが交錯する中での発表となったコレクション。
次の春夏で、どんなfurfurが見られるのか。今後とも目が離せない。
Photographer / Mayu Takeda
Text / Azusa Sato